連結決算を発表する同社取締役で経営企画・経理統括部門担当の青砥修一氏
連結決算を発表する同社取締役で経営企画・経理統括部門担当の青砥修一氏
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 三菱自動車は,2009年度第1四半期(2009年4~6月期)の連結決算を発表した。売上高は2591億1500万円(前年度同期比57.5%減),営業損益は296億1300万円の損失(前年度同期は98億5600万円の利益)だった。景気後退の影響を受け販売は落ち込んでいるが,期首発表の通期見通しの範ちゅうには収まっているという。

 同社が2009年4月27日に発表済みの業績見通しによれば,2009年度上期は350億円の営業損失となっており,第1四半期段階での営業赤字は想定通りだという。販売台数に関しても,上期の見通しが42万7000台であるのに対し,第1四半期の実績値は21万3000台と,ほぼ半数に達しており,月を追うごとに状況が良くなっていることからも,上期および通期の見通しを達成できる可能性は十分にあるという。

 この想定通りに推移すれば,第2四半期は50億円前後の営業損失と見込んでいることになる。第1四半期と第2四半期で販売台数がほぼ同数であるにもかかわらず,赤字額が大幅に減少する理由は,在庫調整の進ちょくにある。第1四半期は8~9万台の在庫調整を進めていたため,小売りと卸売りの台数にかい離があったが,第2四半期では在庫調整が2万台程度で済むことから,収益状況が改善する見込みだという。

 地域別の状況では,すべての地域で販売台数が落ち込んでいる。「日本」と「アジア・その他地域」の落ち込みが前年度同期比で20~25%であるのに対し,「北米」と「欧州」では同40~50%となっており,落ち込みが激しい。特に米国やロシアで大幅に販売が悪化している。一方,欧州の主要国では,各国政府の市場刺激策(スクラップ・インセンティブ)の効果により,大幅な落ち込みを回避できているという。特にドイツでは「Colt」の販売が好調だった。

 販売に回復の兆しが見られるほか,在庫調整も順調に進んでいることから,同社では2009年9月中旬をメドに岡崎工場を1直体制から2直体制とし,生産能力を増強する。この生産増強に伴い,新たに直接雇用の期間従業員などを750人ほど採用する必要があるという。

 2009年度通期の業績見通しに関しては,期首発表値から変更していない。具体的には,売上高が1兆5000億円,営業損益が300億円の利益,純損益が50億円の利益である。