日立製作所 代表執行役 執行役副社長の三好崇司氏
日立製作所 代表執行役 執行役副社長の三好崇司氏
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 日立製作所は2009年7月28日,2009年第1四半期(2009年4月~6月)の連結決算を発表した(プレス・リリース)。売上高は対前年同期比26%減の1兆8929億円,営業利益は505億円の赤字,当期純利益は808億円の赤字だった。自動車向けや産業機器の大幅な売り上げの減少が響き,前年同期に比べて大幅な減収減益となった。

 部門別に見ると,「大きく足を引っ張った」(同社 代表執行役 執行役副社長の三好崇司氏)のが電力・産業システム部門だ。自動車機器事業や日立建機を抱える部門である。同氏によると自動車部門の2009年第1四半期は「200億円の赤字」で,中国向け昇降機やヨーロッパ向け火力発電設備が堅調に推移したものの,全体では売上高は6571億円(前年同期比20%減),営業損益は168億円の損失となった。

 これまで安定した売り上げを計上していた情報通信システム部門も落ち込んだ。売上高は前年同期比21%減の4716億円,営業利益は前年同期比86%減の32億円だった。景気の低迷による需要の減退のほか,銀行向けのシステム構築が一巡したことが大きく影響した。デジタルメディア・民生機器部門は,売上高は前年同期比28%減の2412億円,営業損益は134億円の損失だった。薄型テレビや空調機器の伸び悩みなどで大きく売り上げを落とした。ただ,PDPパネルの製造ラインの売却,海外販路の絞込みなどの事業構造改革によるコスト削減は進んでおり,2008年第4四半期に比べて493億円改善した( Tech-On! 関連記事)。

 売り上げが伸び悩む一方で,固定費の削減は着々と進めている。日立製作所は,構造改革によって2000億円の固定費削減に取り組んでいる。このうち,2009年第1四半期で既に「900億円」(同氏)削減したとする。特に,自動車機器や建設機械といった電力・産業システム部門での計画を前倒ししたという。