市場調査会社の米iSuppli Corp.は,太陽電池市場は供給過剰局面を迎えているとの調査結果を発表した(発表資料)。iSuppli社の調べによれば,太陽電池セル/モジュールや多結晶Si(ポリシリコン)/Siウエハーのメーカーの平均在庫回転日数が63%増えたという。2008年第1四半期(1月~3月)の74.2日に対し,2009年第1四半期は121日となった。

 多結晶Siメーカーが生産増強に巨額を投じた後,スペイン・バブルの崩壊などで太陽電池の世界需要が停滞したため,需給バランスが大きく崩れた。2009年内に予定されている多結晶Si生産能力の増強計画を考慮すると,多結晶Siの1kg当たりのスポット価格は2009年末には50米ドル程度まで落ち込む見込み。2009年初めの180米ドルに対し,72%もの下落である。

 この需給ギャップを受けて,特に,Si材料から太陽電池セルまでを自社で手掛ける垂直統合型メーカーで在庫日数がかさんでいる。ノルウェーRenewable Energy Corp.(REC)や中国Yingli Green Energy Holding Co., Ltd.,ドイツSolarWorld AGといった垂直統合型メーカーでは,2009年第1四半期の平均在庫回転日数が161日を超えたという。前年同期は86日だった。

 多結晶Siメーカーは新工場に投じた巨額の固定費を売上高で回収する必要があり,太陽電池メーカー側に,2007~2008年に策定した出荷計画を守らせようと働きかけている。太陽電池メーカーも材料の長期安定供給を受けるために,供給過剰局面でも材料を買わざるをえない状況という。太陽電池セル/モジュール・メーカーの現在の平均在庫回転日数は105日に達しており,2008年第3四半期の47日に比べ2倍以上となっている。

 多結晶Si/Siウエハー・メーカーの平均在庫回転日数は前年同期の74日に対して現在は98日で,太陽電池メーカーなどに比べれば増加率は小さい。ただし,新規参入メーカーや既存メーカーの生産増強で今後もさらにSi材料の供給過剰が予測されるため,2009年から2010年にかけて多結晶Siのスポット価格は下がり続け,Si関連メーカーの在庫日数は増え続けるとiSuppli社は予測する。