二階経産相も参加しての発会式
二階経産相も参加しての発会式
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 米GE社は,2009年7月27日に発足した株式会社「産業革新機構」に創立メンバーとして参画することを発表した。日本政府と民間企業16社が共同出資する同機構は,エネルギ/環境/ヘルスケア分野などにおいて,日本の企業や研究機関が持つ,優れた先端技術のイノベーションを促進/支援していく。

 産業革新機構の設置期間は15年間で,医療/環境分野を中心に少なくとも数十件の投資を実行したい考えだ。出資金は905億円。社長の能見公一氏(元あおぞら銀行会長)は同日の発足式で「新たな技術,ノウハウ,人材を結集する事業に取り組む」と述べた。現在,出資方針を固めたのは日本GEのほか,パナソニック,東京電力,シャープ,日立製作所,新日本石油,大阪ガス,住友電気工業,旭化成,日揮,住友化学,武田薬品,日本政策投資銀行,商工組合中央金庫など十数社。最終的には20社超に増える見込みだ。

 同機構は大学や研究機関に埋もれている特許の事業化を助けたり,技術力があっても財務基盤が弱いベンチャー企業に出資したりする。複数の企業が特定の事業部門を統合し,新会社を立ち上げる際にも資金を出す。

 金融機関からの借り入れに8000億円まで政府保証をつけられるため,1兆円規模の資金を投じることができる。投資の是非は「産業革新委員会」を開いて精査する。委員長には科学技術振興機構研究開発戦略センター長の吉川弘之氏が就任した。

 米GE社は,長年にわたり日本企業との協業,提携を重要戦略の一つとしてきた。2004年からは「ジャパン・テクノロジー・イニシアチブ」を展開し,日本企業との技術協業で革新的な製品・サービスを提供している。今回の産業革新機構への参画は,こうした戦略の一環となる。

 同社の会長兼CEOのJeff Immelt氏は,「官民パートナーシップは,技術開発と製品の市場導入を迅速に行う上で非常に重要な役割を果たしている。産業革新機構は,イノベーションと優れた製造能力を誇る日本における,官民協力の画期的な取り組みで,GEは創立メンバーとして参画する唯一の外資系企業であることを誇りに思う」と述べた。

 経済産業省では社会の持続的な成長への取り組みの一環として,日本の技術を世界に向けて発信するための新たなアプローチを模索している。同機構は,日本の優れた技術力を最大限に発揮する上で,主要な役割を担うと期待されている。GEは,これまで世界規模でオープンイノベーションを展開しており,こうした豊富な経験を同機構に生かすことができると考えている。