PayPal社,PresidentのScott Thompson氏
PayPal社,PresidentのScott Thompson氏
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Windows AzureとPayPalのAPI上に開発した,市場調査結果を販売するデモ用のWebアプリケーション
Windows AzureとPayPalのAPI上に開発した,市場調査結果を販売するデモ用のWebアプリケーション
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PayPalのAPIを利用して,「Twitter」のSNS(social networking service)上に開発したオンライン決済システム「twitpay」。
PayPalのAPIを利用して,「Twitter」のSNS(social networking service)上に開発したオンライン決済システム「twitpay」。
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 オンライン決済サービスを手掛ける米国大手のPayPal, Inc.は,オンライン決済サービス「PayPal」用のAPI(application programming interface)を第三者の開発者に公開する方針を発表した(発表資料)。同社が米サンノゼ市の本社で行ったイベントで明らかにした。第三者の開発者にAPIを公開することによって,Webアプリケーションの開発者が簡単に決済手段を導入できるようにするのが狙いという。

PayPal社はAPIの公開によって,同社のサービス利用の対象者をパソコン以外のインターネット接続機器の開発者に広げようとしている。「我々は決済機能を簡単に機器に導入できるようにするため,機器メーカーと機器の技術プラットフォームを提供している企業と既に協力している」(PayPal社,Vice President of the PayPal Platform and Emerging TechnologyのOsama Bedier氏)。例として携帯電話機やセットトップ・ボックス,ゲーム機といった機器を挙げた。

 PayPal社は既に,APIのベータ版を公開している。その中の1社が,米Microsoft Corp.である。Microsoft社は,同社のクラウド向けサービス「Windows Azure」(Tech-On!関連記事)の開発環境にPayPalのAPIを入れる。Windows Azure上でWebアプリケーションを構築する開発者が,PayPal社の決済サービスを利用できるようになる。Microsoft社,Distinguished EnginerのYousef Khalidi氏は,同イベントでWindows AzureとPayPalのAPIを利用する試験用のWebアプリケーションを公開した。同アプリケーションは,一人の開発者が4日間で開発したという。

 PayPal社によると,同APIを利用する企業は約300社にのぼるという。ただし,一般の開発者向けに公開するのは2009年11月初頭になる。同社がサービスを提供している190カ国の開発者が利用できるという。

APIの第三者への公開という点では,PayPal社の動きは決して早くない。同社PresidentのScott Thompson氏によると,決済システムに不可欠のセキュリティを確保するのに主に時間が掛かったという。同社によるイスラエルFraud Sciences Ltd.(発表資料)の買収は,APIの公開を前提にセキュリティ環境を強固にするためのステップの一つだったという。