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 「LTE(long term evolution)は主に700~900MHz帯に導入する。(現在,この帯域は持っていないので)なんとかして総務省に割り当ててほしい」。ソフトバンクモバイル 取締役副社長の松本徹三氏は,2009年7月22日から東京ビックサイトで開催中の「ワイヤレスジャパン2009」で,同社のLTE導入計画についてこのように語った。

 松本氏によると,1.5GHz帯にはすぐにはLTEを導入せず,基本的にはHSPA+を入れていくという。タイミングが妥当だと判断すればLTEへのアップグレードも考慮する。2GHz帯も一部の帯域において,LTEにアップグレードできるようにはなっている。

 本格的にLTEを導入する時期は2012~2013年の予定で,対象は700~900MHz帯である。松本氏は,3大携帯電話事業者の中で700~900MHz帯を持っていないのはソフトバンクのみであることに触れ,「そのときまでには新しい700~900MHz帯をいただいても,ばちは当たらないだろう」と述べた。HSPA+は後方互換性があるので既存の端末をサポートできるのに対し,LTEには後方互換性がない点が,LTEの導入に消極的な理由だという。

 講演では通信の容量についても触れた。HSPA+やLTEを導入することで10~20倍の容量を確保できるが,今後は50~200倍の容量が必要になるとされており,そのままでは対応できない。これを補うのが無線LANだという。松本氏は「iPhoneのトラフィックは通常の携帯電話機の約10倍だが,このうち約7割は無線LANに逃げている。トラフィックを無線LANに取られて悔しいとは思っていない。むしろ感謝している。無線LANがなければネットワークが破綻する」と延べ,無線LANを「無二の親友」と表現した。ユーザーは自宅では無線LANを使い,いつでもどこでも使えることを保証するのが3Gや4G,との住み分けになるという。