図1●新シリーズ「HT-Dシリーズ」を使用しての実演
図1●新シリーズ「HT-Dシリーズ」を使用しての実演
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図2●ヒーターには光センサ1個と温度センサ4個が内蔵されている(写真では光センサは入っていない)
図2●ヒーターには光センサ1個と温度センサ4個が内蔵されている(写真では光センサは入っていない)
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図3●奥が新機種のコイルで,手前が既存機種のコイル
図3●奥が新機種のコイルで,手前が既存機種のコイル
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 日立アプライアンスは2009年7月15日,同年8月10日に発売すると発表したIHクッキング・ヒーター「HT-Dシリーズ」の実演説明会を東京都内にある同社生活ソフト開発センター内のオール電化スタジオで実施した(図1)。同社のIHクッキング・ヒーターの特徴は,ヒーターに内蔵されたサーモパイル式光センサ1個と温度センサ4個が鍋やフライパンの温度を常に監視し,料理に合わせて温度を自動調節できる点(図2)。新シリーズでは,光センサの設置位置を変更し,最も高熱になる領域の温度をより正確に速く感知できるようにした。

 同社によると,鍋やフライパンの温度を感知するためにこれほど多くのセンサを搭載しているIHクッキング・ヒーターは同社製だけだという。2007年に発売した機種で温度センサを1個から4個に増やし,2008年に発売した機種からは,140~300℃の高温域で高い性能を発揮するサーモパイル式光センサを導入した。この光センサの導入が,料理に合わせて温度を自動で調節する「適温調理」機能の向上につながったという。センサで正確に鍋やフライパンの温度を監視することで,急速に加熱しても料理が焦げるなどの問題が起こりづらくなったからだ。今回は,この光センサの設置位置を変更した。

 2008年の段階では,光センサを加熱部中央から15mmの部分に設置していた。IHクッキング・ヒーターの場合,上に載せた鍋やフライパンの底は均一に加熱されているわけではない。ヒーター内のコイルの真上に当たる部分の方が,コイルのない中央部や外周部よりも高温に達するのだ。中央に光センサがあると,コイル真上の温度を測定することが不可能。そのため,以前は「恐る恐る温度を上げていた」(同社家電事業部多賀家電本部家電第三設計部主任技師の大友博氏)。

 今回の新シリーズでは,光センサの設置位置を変えるためにコイルの形状を変更した。以前,コイルは上から見るとドーナツのような形をしていたが,新シリーズでは大きなドーナツの輪の中に小さなドーナツが入ったような形状に変えた(図3)。光センサは,この二つの輪の間,中央から50mmの位置に設置。これにより,コイル真上の最高温に達する部分の温度が正確に測れるようになり,急速に加熱をしても問題が生じづらくなった。

 加えて,より正確に温度を感知できるようになったことで,適温調理に使用できる鍋やフライパンの種類も広がった。同社は以前から,鉄やステンレス鋼以外の鍋やフライパンでも使用できる「オールメタル対応」を実現している。従来機種では,オールメタル対応タイプであっても,適温調理で使える鍋の板厚や鍋底の径,鍋底の反りの大きさに制約があった。しかし,新機種では,そういった制約がない。

 発売されるのは全部で21機種。3口すべてIHのタイプと,IH2口/ラジエントヒーター1口のタイプがある。IHをオールメタル対応にするかどうかも選べる。本体希望小売価格は25万7250~41万8950円で,当初は1万2000台の月間生産台数を見込んでいる。