図1◎ターゲットステーション
図1◎ターゲットステーション
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図2◎ディケイボリューム
図2◎ディケイボリューム
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 三井造船は,高エネルギー加速器研究機構向けに,次期ニュートリノ振動実験装置の心臓部となるターゲットステーション構造体などを納入した。ヘリウムガスを充填する同構造体は長さ15×幅4×高さ10mの鋼製で,ニュートリノの生成に必要な陽子ビームを当てるカーボン(標的)を設置するための密閉容器(図1)。世界最高強度のニュートリノビームを生成し,それを295km離れた「スーパーカミオカンデ」(岐阜県神岡町)に向けて打ち込むことで,宇宙の起源と物質創生の謎を解明する実験に利用される。

 今回納入したのは,ターゲットステーション関連機器以外に,ディケイボリューム関連機器,入射陽子ビーム関連機器,中性子源生体関連機器などがある(図2)。

 大型の重量構造物であるターゲットステーション構造体には,極めて厳しい加工精度や据付精度,高い気密性能などが求められる。三井造船は,各種大規模研究施設の機器製作に多くの実績があり,エンジニアリング技術をはじめ,鋼製重量構造物の製作・架設技術,大型機械の精密加工技術などを持つ。今後も,宇宙線・素粒子関連プロジェクトなどに積極的に取り組んでいくという。