市場調査会社の米iSuppli Corp.は,米Apple Inc.の携帯電話機「iPhone 3G S」を分解して調べた原価分析結果を発表した(発表資料)。これによると,希望小売価格が199米ドルの16Gバイト・モデルは,部品原価が172.46米ドル,製造費用が6.50米ドルで,原価見積もりの合計が178.96米ドルとなった。

 「iPhone 3G」の8Gバイト・モデルは,原価見積もりの合計が174.33米ドルで,希望小売価格が199米ドルだった。iPhone 3G Sは,コストが若干上がったものの,サービス・プロバイダが支払う補助金はiPhone 3Gよりはるかに高いという。

 iSuppli社によると,部品と設計の面で見れば,iPhone 3Gと同3G Sは一部を除いてほとんど変わらない。変わった点は,Bluetooth/FM/無線LAN機能を統合した米Broadcom Corp.製のシングル・チップを採用したこと。iPhone 3Gでは米Marvell Technology Group製の無線LANチップと英Cambridge Silicon Radio Ltd.製のBluetoothチップを使っていた。アプリケーション・プロセサの電力管理ICには,従来のオランダNXP Semiconductors NV.に代えて,ドイツDialog Semiconductor GmbH製を用いている。

 また,新機能のデジタル・コンパス向けに,旭化成傘下のAKM Semiconductor, Inc.の電子コンパスと伊仏合弁STMicroelectronics社の加速度センサを新たに搭載した。

 ベースバンドLSIは米Qualcomm Inc.がドイツInfineon Technologies AGにとってかわると予想されていたが,引き続きInfineon製を採用した。フラッシュ・メモリとアプリケーション・プロセサも,従来と同様,それぞれ東芝と韓国Samsung Electronics Co., Ltd.が供給している。東芝製の16GバイトMLC(multi level cell)型NANDフラッシュ・メモリ(24米ドル)はiPhone 3G Sの中で最も部品原価が高い。

 なお,上記の原価見積もりには,ソフトウエア開発費,流通やパッケージング関連のコストは含まれていない。