図1●焼結水素系ガス吸い込み設備(Super-SINTER)の概要
図1●焼結水素系ガス吸い込み設備(Super-SINTER)の概要
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図2●水素系ガス吹き込み設備
図2●水素系ガス吹き込み設備
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図3●焼結層内の温度の比較
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 JFEスチールは2009年6月15日,製鉄プロセスの焼結鉱製造工程において,CO2排出量を削減する技術「Super-SINTER」を開発し,既に同年1月から同社東日本製鉄所(京浜地区)の焼結工場で商業運転に入っていることを明らかにした。同技術の実用化は世界初という。

 Super-SINTERは,粉コークスの一部を,水素系ガス燃料で代替するもの。従来の焼結プロセスは,粉状鉄鉱石と石灰石に,凝結材となる粉コークスを混合した後,焼結機に装入して点火し,焼結させていた。高品質な焼結鉱を製造するためには,焼結時の温度を1200~1400℃に維持する必要がある。この温度域からずれると,必要な焼結鉱の強度が得られないからだ。例えば,1400℃を超えるとガラス質鉱物の増加により品質が劣化する。

 Super-SINTERでは,粉状鉄鉱石と石灰石に粉コークスを混合して焼結機に装入するとともに,焼結機の上面から水素系ガスを吹き込む。混合原料と水素系ガスでは粉コークスを燃焼させる条件が異なるので,燃焼最高温度を上げることなく最適な焼成反応温度を長時間保持できる。その結果,焼結プロセスのエネルギ効率が向上し,CO2排出量を最大約6万t/年の削減できるという。