6月2日のセッション9の会場の様子。右側の席の列に座っているのはたった一人しかいない。
6月2日のセッション9の会場の様子。右側の席の列に座っているのはたった一人しかいない。
[画像のクリックで拡大表示]
6月3日のセッション23の様子。
6月3日のセッション23の様子。
[画像のクリックで拡大表示]
展示会場の「目抜き通り」も一時は,開店休業状態だった。
展示会場の「目抜き通り」も一時は,開店休業状態だった。
[画像のクリックで拡大表示]

 今回の「SID Display Week 2009」の最大の異変は,シンポジウムの発表会場で空席ばかりが目立つことだ。特に,これまでは非常に人気があったテーマで,そのために1000人近い収容能力がある部屋を割り当てられた発表でその傾向が強い。

 例えば,6月2日の午前中に開かれた基調講演会場は約2000席が用意されたが,席が埋まったのはその7割ほど。6月2日に韓国Samsung Mobile Display社がセッション9で40型の有機ELテレビについて発表した時や,6月3日に開かれた,有機EL材料についてのセッション23は,どちらも約1000席の1/10ほどしか席が埋まらず,入り口付近から少しのぞいただけでは,ほとんどの席が空席に見えるため,発表が中止になったのかと勘違いするありさまだった。

 他の発表会場も1/2入れば「ここは人が多いな」と思ってしまうほど。例えば,台湾Prime View International Co., Ltd.(PVI)が発表したセッション10などは,熱気があったほうと言えた(関連記事)。

 参加者が大幅に少ないということを示唆する兆候は,開幕以前からあった。会場至近の中級ホテルの多くが宿泊料を大幅に値下げして,それでもまだ空室があるという「珍現象」が起こっていたからだ。

 展示会場も「例年は歩くのも難しいほど混むのに,こんなに狭く,しかも人が少ないのは初めて」(シャープのある説明員)。会場は本来のスペースを1/2ほどに区切り,それでもブースのない空間が1/4以上も残っていた。

昨年から4割減の約4000人台か

 SIDの事務局は,開催直前の時点で参加者数を約6000人と予想していた。ところが蓋を開けてみると,「日本で何があったか分からないが,日本人がとにかく来ない。加えて,中国人も米国の入国に必要な査証が発給されないケースが続出しており,来たくても来れない人が多いようだ。会期の後半でどうなるか分からないが,今のところ参加者数は昨年の7500人から4割近く少ない4000人台と見積もっている」(事務局)。参加者数の公式発表は,6月4日か5日になるという。

 一方,発表そのものはそこまで大きくは減っていない。ポスター発表を入れると500件近くになる発表件数の中で,発表を中止した「Withdrawn」は,日本勢の4件を含む計20件超,つまり約5%減ほどに留まっている。発表が代読やビデオ上映になる例はこれまでのところほとんど見かけないため,発表者の帯同者や,情報収集主体の参加者が大幅に減ったことが参加者数激減の最大要因と言えそうだ。