三井金属鉱業と住友金属鉱山は,両社の伸銅事業の統合を目的とした統合会社の2010年4月の発足について,基本合意した。伸銅品は,2000年前後から需要減少が顕著になっている。そのような状況下での生き残りをかけ,両社が保有する技術/営業/人材面などを再編し,効率化によるコストダウンを図ることを検討する。なお,本件の実施に先立ち,公正取引委員会などの関係官庁と調整を進める。

 両社は,生産設備の有効活用や営業・管理業務の効率化と製造技術の相互補完などにより,伸銅事業の競争力の強化を図る。両社の事業統合により,東西2拠点(埼玉県上尾市と三重県いなべ市)で一貫生産体制が可能となり,この2拠点での一貫生産体制を活用することで,コストの削減,納期の短縮を推進する。

 具体的には,顧客に近接した拠点での生産による物流費の削減や納期の短縮,集中購買による単価の引き下げ,最適な拠点での生産による安定供給体制の構築を図る。これにより,競争力を向上し,国内での黄銅事業でトップの地位を確保する。

 営業・管理業務の効率化では,営業拠点や物流体制などの統廃合を実施し,効率的な販売体制の確立と物流コストの引き下げを図る。本社機能の集約による管理間接部門の統廃合を実施してスリムな管理体制とし,管理間接費用の削減を図る。技術面では,両社の優れた技術・生産設備を相互に補完/融合することで,技術開発力/生産技術力の向上を図る。

 統合対象は,三井金属鉱業の圧延加工事業部の事業およびこれらに付帯/関連する事業と住友金属鉱山の100%子会社である住友金属鉱山伸銅の伸銅事業およびこれに付帯/関連する事業とする。両社の出資比率は,各50%。直接的な統合効果は年間10億円と見込んでいる。