グリーンハウスが参考出品したSSD搭載のiVDRメディア。
グリーンハウスが参考出品したSSD搭載のiVDRメディア。
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中国V-Show Technology社のSTB「Cherry」シリーズ。iVDRに強い期待を寄せているようだ。
中国V-Show Technology社のSTB「Cherry」シリーズ。iVDRに強い期待を寄せているようだ。
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日立マクセルが参考出品した「iVDRステーション」。iVDR-I/Oスロットにさまざまな機能カードを差すことで機能をカスタマイズできる。
日立マクセルが参考出品した「iVDRステーション」。iVDR-I/Oスロットにさまざまな機能カードを差すことで機能をカスタマイズできる。
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 リムーバブルHDD「iVDR」の規格策定団体であるiVDRコンソーシアムは,2009年5月25日,東京都内でセミナーを開催し,講演者らがiVDRに関して今後の見通しや製品展開について講演した。iVDRは,映画やテレビ番組などの映像コンテンツの持ち運びを想定したメディアで,著作権保護技術「SAFIA」を実装している。コンソーシアム会長の釘屋文雄氏は,iVDRがBlu-Rayに比べて大容量なこと,転送速度が726Mビット/秒と速いことといった利点を挙げ,テレビや録画再生機,セットトップ・ボックス(STB)などのiVDR対応機器が増えてインフラが整えば「便利さが認識されて,大容量のコンテンツを手軽に持ち運べるメディアとして爆発的に普及する可能性がある」と今後への期待をみせた。また,DLNAのような家電ネットワークとも競合するというより「ネットワークを補完するメディアになる」と見解を示した。

 今後は,大容量化やSSD対応が進む。現在,iVDRメディアの容量は最大で320GBだが,2010年には500GB~1TBの製品も登場する見込み。将来は高速で衝撃などに強いSSDの利用も想定されており,セミナー会場ではパソコン周辺機器メーカーのグリーンハウスがSSDを利用した16GBのiDVRメディアの試作品を展示していた。対応機器も徐々に増えつつあるようだ。三洋電機は2009年夏に家庭用のレコーダーを発売する予定。中国企業も関心を寄せており,V-Show Technology社は,iVDR対応のSTBを開発している。2009年第3四半期には,iVDRのスロットを二つ備えた業務用の「Cherry II」を,同第4四半期には,スロットが一つの民生用の「Cherry III」を中国市場に投入するという。また,2008年に策定した拡張規格「iVDR-I/O」を利用した製品も紹介された。iVDR-I/OはUSBに準拠した機能拡張用のインタフェース。セミナー会場では,日立マクセルが同スロットを利用した試作品「iVDRステーション」を展示していた。デジタル放送のチューナー・カードや,CATVのチューナー・カードといった機能別のカードを利用することで機能をカスタマイズできる。

 iVDRは,現在コンソーシアムが国際標準化を進めており,2009年4月に最終委員会原案(FCD)が済んだ。今後,最終国際規格案(FDIS)に諮り,2009年末までには国際規格化する見通しとなっている。



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