総務省は2009年5月22日,800MHz帯および2GHz帯CDMA2000方式の携帯電話の電波中継/増幅に使う小電力レピータは,心臓ペースメーカーなどの医療機器に影響を与えないと発表した(発表資料)。総務省は2000年度から,携帯電話機や関連装置,非接触ICカード/システムなどの電子機器の電波が医療機器に与える影響について調査を続けている。2008年度は800MHz帯/2GHz帯CDMA2000方式(CDMA2000 1X,CDMA2000 1xEV-DO方式を含む)の携帯電話用小電力レピータから発射される電波が植え込み型の医療機器(植え込み型心臓ペースメーカー,植え込み型除細動器)に及ぼす影響を調べた。

 総務省は,通信事業者と日本医用機器工業会ペースメーカ協議会の協力を得て,小電力レピータ1機種,心臓ペースメーカー43機種,除細動器23機種を調査した。植え込み型医療機器に及ぼす影響が最大となるよう,小電力レピータの送信出力を最大にするなどの厳しい条件で試験を実施したが,影響は確認できなかったという。

 なお,総務省はこれまでの調査結果をもとに,医療機器への電波の影響を防ぐためのガイドラインをまとめている(2009年5月に更新した指針)。ガイドラインには「植え込み型医療機器を装着した人が携帯電話機を使う場合は,端末を医療機器の装着部位から22cm以上離すこと」「携帯電話機のユーザーは,満員電車など植え込み型医療機器を装着した人と近接する可能性のある場所では端末の電源を切るよう配慮すること」といった内容が盛り込まれている。今回調査した小電力レピータに関しては「特別の注意は必要としない」と記載された。