市場調査会社の米iSuppli Corp.は,2009年第1四半期(1月~3月)のDRAMメーカーの売上高ランキングを発表した。首位は韓国Samsung Electronics Co. Ltd.,2位は韓国Hynix Semiconductor, Inc.で前期から変わらない。3位には,前期4位だった米Micron Technology, Inc.がエルピーダメモリを抜いて返り咲いた。

 Micron社は2003年まで,Samsung社に次ぐDRAM売上高シェア2位の座を堅持していたが,その後,300mmウエハー対応設備への投資が遅れたこと,製造ラインを多種のメモリに振り向けたことでシェアが低下。2006年第1四半期にトップ3から脱落した。しかし2008年10月,台湾Inotera Memories, Inc.の一部株式をドイツQimonda AGから買収したことで(Tech-On!関連記事)300mmウエハーによる生産能力を増強。2008年第1四半期は11.3%だった市場シェアを同年第4四半期には13.8%へ,さらに2009年第1四半期には14.6%まで拡大した。

メーカー別にみる2009年度第1四半期のDRAM売上高
メーカー別にみる2009年度第1四半期のDRAM売上高
売上高の単位は百万米ドル

 iSuppli社は「Micron社の復活はDRAM産業にとって危険」と評した。市場シェアの獲得競争が激化し,DRAMの価格が下がって,メーカー各社の収益悪化を招く可能性があるとする。なお,iSuppli社はMicron社の今後の成長に関して「Inotera社の設備をQimonda社の古いプロセスからMicron社の多層技術ベースのプロセスへ迅速に転換できるかどうかにかかっている」と指摘した。

Samsungのシェアが過去最高に

 2009年第1四半期のDRAM業界全体の売上高は前期比20.1%減,前年同期比44.1%減の33億2200万米ドルだった。1Mバイト当たりの平均販売単価は前期比で8%低下した。容量換算の出荷量は前期に比べると13%減,前年同期に比べると10%増となった。市場の回復を促進するには,さらなる減産が必要とiSuppli社はみている。

 売上高上位10社では,台湾Nanya Technology Corp.だけが前期比で売り上げを伸ばし,そのほかのメーカーは軒並み減収だった。Nanya社の増収も,低調だった前期との比較によるものとiSuppli社は説明する。業界平均に比べて減収幅が小さかったのはSamsung社とMicron社。特にSamsung社は減収幅を8.4%にとどめ,市場シェアを過去最高の34.3%まで拡大した。一方,経営再建中のQimonda社のほか,台湾ProMOS Technologies Inc.や台湾Powerchip Semiconductor Corp.は業界平均を上回る割合で売り上げを落とした。