富士経済は,ハイブリッド車および電気自動車関連の技術動向や関連部品の市場動向の調査結果を発表した(発表資料)。

 2009年のハイブリッド車の世界市場規模は,対前年比38.2%増の68万4000台に達する見通し。ホンダの「インサイト」を追って,トヨタ自動車が「プリウス」の新機種を発売することなどから,価格競争が激化するとみる。2009~2010年にかけては,インサイトと新型のプリウスが世界市場を牽引するものの,北米市場の拡大は微増にとどまると見られるため,市場全体は緩やかな伸びで推移すると予測する。2012~2013年には,ホンダやトヨタ自動車に加え,日産自動車やマツダもハイブリッド車の市場投入を計画している。さらに,米Ford Motor社もこの時期にハイブリッド車を市場投入する可能性が高いという。このため,ハイブリッド車の世界市場規模は,車種数の増加に伴って2015年に240万台,2020年に375万台に拡大する見込みという。この予測値は,2008年比で見るとそれぞれ4.8倍と7.6倍に相当する。なお,北米においてハイブリッド車の市場が本格的に立ち上がるのは,2015年以降になると予測する。

 一方,2010年の電気自動車の世界市場規模は3000台の見通し。現在は自治体や企業向けの販売に限定されており,市場が立ち上がっているとは言いがたいという。三菱自動車工業や富士重工業,日産自動車は,2010年代初頭までに市販を予定しているものの,当面は用途を限定した市場形成が続くと見込む。富士経済が予測する電気自動車の世界市場規模は,2015年が4万台で,2020年が13万5000台。本格的な市場形成は,電池技術の革新と価格下落,充電インフラの整備が進む2020年代後半~2030年代になるとする。

車載用電池は,2011~2015年にLiイオン2次電池がNi水素2次電池を凌駕

 車載用電池市場は,現在Ni水素2次電池が主流だが,2011~2015年の間にLiイオン2次電池市場がNi水素2次電池市場を凌駕するという。2010年の車載用Liイオン2次電池の世界市場規模は4億円の見込み。2011年頃からLiイオン2次電池を採用するハイブリッド車の車種が徐々に増え,それ以降急激に市場が拡大すると予測する。ハイブリッド車の最大手であるトヨタ自動車がLiイオン2次電池を本格的に搭載するのは2013年または2014年以降と見られているため,Ni水素2次電池からLiイオン2次電池への置き換えは,これに伴って進むとみる。2020年のLiイオン2次電池の世界市場規模は対2010年比783倍の3132億円に達する見通し。ただし,過充電時の内部短絡による発熱や熱暴走を起こしやすいことから,今後は量産に向けて安全性の確保と部材の研究・改良が求められるという。

 2009年の車載用Ni水素2次電池の世界市場規模は,対前年比23.7%増の920億円の見込み。2011年までは年平均2ケタの成長を遂げる見通しだが,2020年には22億円まで縮小するとみる。

車載用電池市場の推移
車載用電池市場の推移
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