東レは2009年5月11日,2009年3月期(2008年4月~2009年3月)決算を公表した。売上高は前期比10.8%減の1兆4716億円,営業利益は同65.2%減の360億円となった。「繊維」「プラスチック・ケミカル」「情報通信材料・機器」「炭素繊維複合材」「環境・エンジニアリング」「ライフサイエンスその他(医薬品・医療材を含む)」といった6事業分野別の売上高・営業利益も,全ての分野で減少している。同社の営業利益増減要因の分析によると,最も影響が大きかったのは,販売数量の低下で,534億円の減少要因になった。また,営業利益は黒字を確保したが,営業外損失や特別損失などを加えた当期純損益は163億円の赤字だった。

 2010年3月期は,売上高・営業利益ともにさらに落ち込むとみている。同期の売上高は2009年3月期比11.7%減の1兆3000億円,営業利益は同58.3%減の150億円という見通しを立てている。東レ社長の榊原定征氏は「(2010年3月期を底として)2011年3月期には2009年3月期と同水準以上に営業利益を回復させたい」と語った。また「正社員の賞与の大幅カットや残業ゼロを実施するが,雇用は守る」と強調した。