左が現・代表取締役社長の中島俊雄氏,右が新社長に就任する山口純史氏(現・取締役執行役員常務)
左が現・代表取締役社長の中島俊雄氏,右が新社長に就任する山口純史氏(現・取締役執行役員常務)
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 NECエレクトロニクスは2009年5月11日,2008年度(2008年4月~2009年3月期)の決算を発表した(ニュース・リリース)。売上高は対前年度比20.5%減の5465億円,半導体売上高は同20.1%減の5217億円,営業損益は同734億円減の684億円の赤字,純損益は同666億円減の826億円の赤字となった。なお,第4四半期(2009年1~3月期)の営業損益は533億円の赤字と,四半期ベースで過去最低である。

 厳しい決算内容を受け,同社は固定費の削減を加速する。2009年度に600億円の固定費を削減するとしていた前回の計画((関連記事))に300億円分の追加削減を加え,計900億円を削減する。追加削減の内訳は,緊急施策による賞与カットなどが100億円,海外での人員削減を前倒しで実施した効果などが100億円,設備投資の抑制などが100億円となっている。

 2009年度の売上高は対前年同期比12.2%減の4800億円,半導体売上高は同11.8%減の4600億円,営業損益は同684億円増のゼロ,純損益は同736億円増の90億円の赤字を見込む。半導体受注高は2009年2月に底を打ち,中国や韓国,台湾を中心に汎用製品が回復基調にあるため,固定費削減が順調に進めば,「2009年度の営業黒字化は可能」(同社 代表取締役社長の中島俊雄氏)とする。

 同社は2009年6月25日付で新社長に山口純史氏(現・取締役執行役員常務)が就任する人事を発表した(ニュース・リリース)。現社長の中島氏は顧問に就任する予定。

 新社長の山口氏は,同社とルネサス テクノロジとの経営統合に関し,両社でどれだけ固定費を削減できるかが重要との見方を示した。同氏は半導体メーカーのあるべき姿として,売上高1兆円,営業利益率10%を掲げており,経営統合によって規模を拡大できる点はプラスにつながるとしている。ただし,そのためには固定費削減によるアセット・ライト化が欠かせないという。

 例えば,日立製作所と三菱電機の合併で誕生したルネサス テクノロジが,当初1兆円近い事業規模を持ちながら,その後飛躍できなかった最大の理由は,「アセット・ライトになれなかったこと」(山口氏)とする。現在,NECエレとルネサスの両社は固定費の削減に全力で取り組んでおり,「同じ轍は踏まない」(同氏)という。

 また,製品構成に関しては,「利益を生む製品に絞り込む」(山口氏)としており,売れ筋のマイコンやデジタル民生機器向けのSoCに注力していく考えを示した。海外市場では,新興国で爆発的な普及が予想される低価格の自動車やデジタル民生機器などに焦点を絞り,低価格品を積極的に展開していく。ルネサスとの統合によって重複が予想されるマイコンに関しては,重複した人的リソースをこれまでカバーできなかった新分野のマイコン製品に振り向け,市場を開拓するという。