NECは2009年5月8日,NECトーキンを8月1日付けで完全子会社とすることを発表した(発表資料 )。両社は2009年1月に,NECを完全親会社,NECトーキンを完全子会社とする株式交換の覚書を締結していた( Tech-On! 関連記事)。本日開催の取締役会において交換対価を金銭とする株式交換契約を締結した。2009年6月26日に開催予定のNECトーキンの定時株主総会における承認を経た上で,2009年8月1日を効力発生日とする予定。

 NECトーキンは,2002年4月にその前身であるトーキンのEMC(electro-magnetic compatibility)デバイス,圧電デバイスを中心とした電子部品事業と,NECのキャパシタ事業,電池事業およびリレーなどのデバイス事業を統合してできた会社である。統合後は2005年度まで純利益を計上していたが,2006年度以降は角型電池事業に関する特別損失や2008年度下期以降の不況の影響などにより損失が拡大していた。

 NECトーキンは,抜本的な構造改革の対策費として総額で260億円程度(内訳は角型電池事業終息関連約136億円,リードスイッチ製品の終息関連約4億円,拠点の統廃合関連約70億円,人員のスリム化関連約50億円)を2008年度の特別損失として計上する。NECから2009年2月20日に第三者割当増資約380億円を受け,2008年度末ではなんとか債務超過状態を回避した。しかし,今後の経営基盤の安定化を図り,抜本的な対策を迅速に実行することを考慮し,NECトーキンの完全子会社化に至った。