ハリウッドの重い扉をこじ開けたのは,米Apple Inc.や米Microsoft Corp.ではなく,日本のDVDレンタル/販売大手「TSUTAYA」だった─。
国内で映像配信サービスを手掛けるツタヤオンラインは,アクトビラ†に対応するデジタルAV機器に向け,視聴期間に制限を設けない「セルスルー配信」に対応したHD動画ダウンロード・サービスを2008年12月19日に始めた(図1)。HDDに記録した映像を,Blu-ray Discなどの記録媒体へ最大2回書き出せる注1)。HDD内に多数の映画をコレクションしたり,外部媒体にコピーして持ち出したりといったユーザー体験を,HD映像で実現してみせた。
†アクトビラ=パナソニック,ソニー,東芝,シャープ,日立製作所,ソネットエンタテインメントが共同で設立した,デジタルAV機器向けコンテンツ配信サービス。インターネットのアクセス回線経由で映像コンテンツなどを配信する。
注1) 今回配信するのは,画素数1080i,符号化方式MPEG-4 AVC/H.264,符号化速度が平均10Mビット/秒,最大20Mビット/秒のVBR(variable bit rate)方式で記録した映像である。書き出しの回数はコンテンツごとに異なる。新作の映画については,Blu-ray Discパッケージ媒体の発売に合わせて配信を始める。価格は,映画1作品当たり平均で3675円と,一般のBlu-ray Discパッケージ媒体よりもわずかに割安である。TVシリーズは1作品当たり893円である。なお,現在,このサービスに対応するのはパナソニックの Blu-ray Discレコーダーと日立製作所の薄型テレビの一部のみ。
機器メーカーにとって今回のサービスは,Blu-ray DiscレコーダーやiVDR搭載機の付加価値を高める格好の材料となる。2009年春から夏にかけ,複数の企業が同サービス対応のBlu-ray Discレコーダーを出荷するもようだ。