米Freescale Semiconductor Holdings I, Ltd.は,150mmウエハーに対応する一連の製造拠点を閉鎖する計画を発表した(発表資料)。この計画によって,宮城県仙台市にある製造拠点を2011年末までに閉鎖する。さらに,フランスのトゥルーズにある製造拠点の従業員との間で,閉鎖に関する正式な協議を開始したという。この作業も2011年末までに完了する見通し。作業完了後は,年間約1億米ドルのコストが削減できるとする。ただし,閉鎖に伴う人員削減費用に2億米ドルかかるとみる。

 さらに,同社は携帯電話機向け事業からの撤退を完了するための作業を開始したことを明らかにした。2009年12月31日までに同事業から撤退する。同社は2008年第4四半期に,携帯電話機向け事業における戦略的な選択肢を探っていることと,米Motorola, Inc.との供給契約が終了したことを発表していた。同事業再編に伴う人員削減の費用は約7000万米ドルという。

 Freescale Semiconductor社は現在,景気後退の影響を受け,事業再編を進めている。具体的には,コスト構造の合理化や損益分岐点の改善,一部の研究開発投資の成長市場への再振り分けなどを行っている。事業再編に伴う人員削減に必要な現金は,携帯電話機事業の撤退費用も含めて約2億7000万米ドル。事業再編が完了すれば,2010年までには年間約7億米ドルの費用が削減できるとする。

2009年第1四半期の売上高は4割減,純損益は黒字に

 Freescale Semiconductor社の2009年第1四半期の決算は,売上高が対前年同期比40.2%減の8億4000万米ドル,営業損益は3億5100万米ドルの赤字,純損益は17億5600万米ドルの黒字だった。営業損益は前年同期から赤字幅が拡大したが,純損益は前年同期の赤字から黒字に転じた。純利益の回復に貢献したのは,債務交換に伴う一時的な利益という。同債務交換の完了によって,同社の約19億米ドルの長期債務および年間約1億4000万米ドルの利息が減額されたとする。

 同社のchairman兼CEOであるRich Beyer氏は,「第1四半期は,厳しさの続く経済状況と市況の影響を受けたが,事業再編を大幅に進めることによって,資本構造を改善することができた」とコメントを寄せている。

 製品別の売上高を見ると,主力のマイコンの売上高は対前年同期比46.3%減の2億4600万米ドルだった。ネットワークおよびマルチメディア向け製品の売上高は,同15.2%減の2億2800万米ドル,RF・アナログおよびセンサ製品の売上高は同29.0%減の1億8400万米ドル。携帯電話機向け製品は,同70.1%減の9500万米ドルだった。