特許庁は,太陽電池に関する特許出願動向を調査し,Si系では日本勢が優位だが,有機半導体系では欧州勢が優位との調査結果を発表した。

 2000~2006年の太陽電池に関する特許出願件数は全世界で約7970件に上る。出願人の国籍別にみると,日本は68.4%を占め,欧州(15.3%)や米国(10.6%)を大きく引き離している。太陽電池の種類別にみると,結晶Si系と薄膜Si系ではそれぞれ7割以上が日本勢の出願である。化合物半導体でも結晶系,薄膜系のいずれも5割以上を占める。ところが,有機半導体系では日本勢の出願は46%程度とほかの種類に比べるとシェアが小さく,米国の29%と欧州の19%を合計すると日本を上回る状況である。

太陽電池関連特許の出願人国籍別シェア
太陽電池関連特許の出願人国籍別シェア
(2000~2006年の出願)

 太陽電池に関する論文件数(2000~2007年発行の国際的な主要論文誌に発表されたものに限る)は,欧州国籍が861件,米国籍が431件で,日本は386件にとどまった。太陽電池の種類別にみても,欧州が全分野で日本を凌駕している。特に有機半導体系では,日本の29件に対し,欧州は126件で約4倍に上る。特許庁は「有機半導体系の技術開発において,日本は欧州に比べ劣位にあると考えられる」と指摘した。

 なお,色素増感型の太陽電池は今回の調査範囲に含まれていない。

太陽電池に関する論文発表件数
太陽電池に関する論文発表件数
(掲載誌の発行年が2000~2007年のもの)