NetVOCALOIDの概念図
NetVOCALOIDの概念図
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 ヤマハは,同社の歌声合成ソフトウエア「VOCALOID」をネットワーク上のサーバーで動作させるサービス「NetVOCALOID」を開発したと発表した(発表資料)。インターネットや携帯電話のサービス・プロバイダー向けに提供を開始している。NetVOCALOIDを利用した携帯電話機ユーザー向けのサービスとしては,「ミクと歌おう」および「ケータイがくっぽいど」が,KDDIの公式サイトとして,2009年4月9日に開始される予定。ミクと歌おうはクリプトン・フューチャー・メディアが,ケータイがくっぽいどはインターネットが提供する。

 VOCALOIDは,歌声パートの旋律と歌詞のテキストを入力すると,楽曲のボーカル・パートを制作できる歌声合成ソフトウエア。ヤマハが2003年に開発・販売を開始した。実際に収録した人の声を音声ライブラリとして合成するため,より自然な歌声を合成できるほか,ビブラートやこぶしといった歌声に必要な音程変化や抑揚を指定することで,表情豊かな楽曲を作れるという特徴を持つ。

 今回開発したNetVOCALOIDは,このソフトウエアをサーバー上に実装し,歌声合成機能をサービス・プロバイダー向けに提供するもの。仕組みは以下のとおり。一般ユーザーからサービス・プロバイダー経由で送られるシーケンス・データをNetVOCALOIDエンジンで歌声合成し,エフェクト加工を施した後に,オーディオ・データに変換・圧縮して,サービス・プロバイダーのサーバーにダウンロードする。サーバー上の機能を呼び出すためのインタフェースには,Web API(Application Programming Interface)を使用しているため,アプリケーション開発者がインタフェースのプログラムを独自に開発する必要はないという。

 サービス・プロバイダーは,NetVOCALOIDからダウンロードされた歌声合成音を,パソコンや携帯電話機,ゲーム機などのさまざまな一般消費者向け機器に配信することができる。これによって,インターネット上のアバター(分身)に歌を歌わせたり,歌声合成を活用したインタラクティブなゲームを展開することが可能という。ヤマハはサービス・プロバイダーからの要望があれば,新しいキャラクターの歌手データを作成し,NetVOCALOIDサーバーに組み込むサービスも提供するという。さらに,サービス・プロバイダーが独自に歌手データを作成し,NetVOCALOIDサーバーに組み込むための支援サービスも検討するとする。

 ヤマハは,NetVOCALOIDの提供に関して,「サービス・プロバイダーは,歌声合成ソフトウエアを自社で開発する必要がなく,かつ複数のソフトウエアと組み合わせることもできるため,付加価値の高いサービスを提供することが可能になる」と説明している。