東芝は,パナソニックとの合弁会社である東芝松下ディスプレイテクノロジー(以下,TMD)を完全子会社化する(発表資料)。TMDは2002年の設立以降,中・小型の液晶パネルを量産しながら有機ELパネルの開発を進めてきた。現在,出資比率は東芝60%,パナソニック40%だが,パナソニックの保有する全株式を2009年4月28日に東芝が取得する。東芝の100%子会社となった後,TMDは「東芝モバイルディスプレイ」に社名を変更する予定。

 完全子会社化の狙いについて東芝は,TMDを単独運営とすることで意思決定の迅速化を図ると説明する。TMDはアモルファスSi-TFT液晶パネルを製造する魚津工場(富山県魚津市)の閉鎖や,低温多結晶Si-TFT液晶パネルを製造する深谷工場(埼玉県深谷市)のうち小型のガラス基板に対応する製造ラインの停止を進めている。今後は,低温多結晶Si-TFT液晶を中心に事業の立て直しを図り,中長期的には有機ELを成長の柱に育てる考え。ただし,経営環境の悪化をふまえ,有機ELパネルの量産時期は当初予定の2009年10月に対して延期を決定。市場動向をみながら量産時期を再検討するとしており「半年以上ずれこむ見込み」(東芝 広報)という。