日東電工は,2008年度(2008年4月~2009年3月)決算に事業構造改革費用50億円を計上すると発表した。不採算の一部製品からの撤退に伴う固定資産の減損処理が発生するという。撤退を決めた製品は以下の3つ。

(1)北米市場向けの電子材料用テープ
(2)液晶ドライバICの実装用COF(chip on film)フィルム「キャリアフレックス」
(3)液晶テレビ向け偏光板のうち視野角拡大効果のある一部品種

 (1)については収益悪化のため米国工場での生産を終了する。(2)は国内工場で生産していた。液晶テレビの低価格化で顧客からの値下げ要求が強くなり,採算がとれなくなったため,撤退する。(3)は国内および東アジアで生産していた。一時は液晶テレビの差異化に寄与していたが,同様の製品が数多く普及して差異化の材料にはならなくなり,需要が減ったため撤退する。

 撤退事業に携わる従業員は原則,グループ内での再配置を進める。生産ラインも他製品に使えるものは転用する。転用できないものについては廃棄を予定しており,これに伴う減損損失を2008年度決算に計上する。

 日東電工が手掛ける事業では,FPD材料などを扱う電子材料事業が2008年4月~12月期決算で4割減収,20億円の営業損失を計上と,特に低迷している。同社はFPDの市況について「3月に入って1月や2月の水準よりは受注が増えている。顧客メーカーで在庫削減が進んだことと,中国政府が農村部の家電普及を促進する『家電下郷』政策の効果が背景にある。この回復が継続的なものになるかどうかは不明」(同社広報)とした。