東芝研究開発センターは、ハイブリッド車や電気自動車のインバータ・モジュールに応用できる超低損失SiC-MOSFETを実現する新ゲート酸化膜形成プロセスを開発した。SiC-MOSFETは、高耐圧、超低損失、高チャネル移動度、高温動作、高熱伝導率など優れた特性を持ち、次世代パワーエレクトロニクス・デバイスとして期待を集めている。しかしその一方、実用化するうえでは課題もある。その一つがゲート酸化膜の信頼性である。これまでは、高チャネル移動度とゲート酸化膜の高信頼性を両立させることが難しかった。

 東芝研究開発センターは、この課題を解決するため、ゲート酸化膜の形成にドライ酸化とウェット酸化(パイロジェニック酸化)を組み合わせた新たな技術を開発した。それによって同センターは、高チャネル移動度と高信頼性を両立させたSiC-MOSFETの試作に成功した。試作したSiC-MOSFETのチャネル移動度は93cm2/Vsと世界トップレベル。信頼性の指標である絶縁破壊注入電荷量は17.5C/cm2と高い信頼性を両立させた。

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