「Game Developers Conference(GDC)」のセッションで,任天堂開発技術本部 開発推進グループ プロジェクトリーダーの桑原雅人氏が「The Inspiration Behind Nintendo DSi Development」と題して,開発の裏側やコンセプトなどを語った。
まずDSi以前に桑原氏が手掛けた「思い出に残るハードウエア」(同氏)を紹介した。中でも「ゲームボーイアドバンス」用の「ワイヤレスアダプタ」は,現行のニンテンドーDSやDSiの無線LANに搭載された「すれ違い通信」や,隠し機能ではあったもののプログラムを親機から子機にダウンロードする機能を搭載するなど,先駆的な存在であったことがうかがわれる。
DSiの開発に際しては,一人1台を目指したと説明。「My DS」というキーワードが与えられたことで,「コンセプトが明確になり,いつも手元に置き,持ち歩いてもらうためにはどうすればよいかという観点で考えられるようになった」(桑原氏)と説明している。
旧版のDS Liteとの比較で目立つカメラだが「価格や大きさ,マイクロプロセサの処理性能などから高解像度にはしなかった。だが,画質にはかなりこだわった」という。液晶パネルの大きさはDSiになって少し大きくなったが,「使ってもらえば分かるが,遊びやすさが全然違う」と強調していた。
DSiの開発には2年間をかけている。実際に発売したDSiは,2007年10月に一度一からやり直したものだという。第1機はデュアル・スロット,すなわちDS用のゲーム・カードを2枚させるようにした。「例えば脳トレ系のゲームなど,毎日やりたいゲームを1本を入れっぱなしにしておき,もう一つのスロットを使ってそのときの気分でゲームを変えられる,といった使い方を想定していた」(桑原氏)。しかし二つスロットが並ぶため,どうしても大きく,重たくなる。「社内評価が悪く,一度ちゃぶ台をひっくり返すことにしてデザインや基本設計からやり直した」(桑原氏)。
最後にDSiの標準で付属するソフトウエアの使い方を紹介し,「DSiのカメラを生かしてもらってもかまわないし,従来通り無線LANやタッチ機能を生かしてもらってもいい」と語り,一層のソフトウエア開発を呼びかける形となった。