古河電気工業と昭和電線ホールディングスは2009年3月24日,建設・電販市場向け汎用電線(ビルや工場の電気設備に使う電線)の事業に関して,両社の販売部門を統合することで合意した。新たに「古河昭和ケーブル(仮称)」を古河電気工業55%,昭和電線ホールディングス45%の出資で設立し,現在の販売会社である「古河エレコム」「昭和電線ケーブルシステム」から事業を譲渡する形で,2010年4月1日からの営業開始を目指す。新会社はシェア25~26%で業界2位になる見込み。売上高は銅の価格によって大きく変化するが,現状(1kg当たり400円程度)の場合は500億円程度になるという。

 電線の材料である銅,被覆材であるポリエチレンやビニルの価格は最近変動幅が大きく,そのため電線メーカーの収益基盤は不安定になっているという。このため両社は2008年夏ごろから,相互協力について協議を開始した。それぞれが持つ販売拠点は所在地が重複する場合が多いため,拠点の削減により統合効果を見込める。また,特に汎用性の高い電線〔屋内用ビニル絶縁電線(IV),ポリエチレンケーブル(CV),ビニル絶縁ビニルシースケーブル(CVV,VVR,VVR)など〕についてはブランドを統一する。生産工場は両社それぞれが引き続き運営するが,「将来的には比較優位で残すもの,やめるものがはっきりしてくる。競争力のあるものを残す」(両社)ことになる見込み。

 古河電気工業が比較的,埋設管などの周辺資材も含めた品ぞろえが広いのに対し,昭和電線ホールディングスはケーブル自体に強く,また代理店網が充実しているという。