米iSuppli Corp.は,2008年のEMS(electronic manufacturing service)メーカー上位10社の合計売上高が,前年比で2.8%減少したと発表した(発表資料)。2007年と2006年は,前年比でそれぞれ19.2%と20.3%の成長を遂げたものの,2008年はマイナス成長に転じた。上位10社の合計売上高が前年を下回ったのは,2002年以来という。2008年の成長鈍化の一因は,台湾Hon Hai Precision Industry Co., Ltd.(鴻海精密工業,通称Foxconn)の業績が伸び悩んだこととする。

 Hon Hai社の売上高は,2007年に対前年比39.4%増,2006年に同43.7%増と急成長を遂げ,EMSの世界市場を牽引してきた。例えば,2007年のEMSメーカー上位10社の合計売上高の前年比増加率は19.2%だが,この中からHon Hai社の分を除くと8.3%まで減少する。しかし,2008年はHon Hai社の伸びが,同1.3%増の554億米ドルと落ち込んだため,世界市場の成長の鈍化を招いた。Hon Hai社の売上高が減少した背景には,同社が手掛けるデスクトップ・パソコンや携帯電話機などの消費者向け製品の需要が鈍化したことや,為替変動の影響があるという。

 iSuppli社は,2006~2012年までのEMS世界市場の年平均成長率を,5.3%から1.3%に下方修正した。Hon Hai社の伸び悩みに加え,いくつかの状況を考慮して下方修正したという。その一つは,5位のメーカーである米Sanmina-SCI Corp.の業績の低迷。Sanmina-SCI社は2008年にパソコン事業関連資産を,Hon Hai社と中国Lenovo Group Ltd.に売却したものの(Tech-On!の関連記事),その後も業績が伸び悩んでいる。Sanmina-SCI社の2008年の売上高は,前年比で32.5%減少した。iSuppli社は,「パソコン事業からの撤退によって,Sanmina-SCI社は核となる事業から4億米ドル以上の売り上げを失った」と推計する。2008年第4四半期の売上高は直前期から16.7%減の14億米ドルだった。

 6位の欧州Elcoteq SEや8位の米Benchmark Electronics, Inc.の業績も低迷した。Elcoteq社の2008年の売上高は対前年比13%減少。フィンランドNokia Corp.が,発注を香港Foxconn International HoldingsLtd.や中国Jabil Circuit (Wuxi) Co, Ltd.などに移行したことが響いたという。現在,Elcoteq社にとっての最大の顧客は,「BlackBerry」を手掛けるカナダResearch In Motion Ltd.だと考えられるとiSuppli社は説明している。一方,Benchmark Electronics社の2008年の売上高は対前年比11.2%減となった。

 iSuppli社は2009年のEMS世界市場が前年比で9.9%縮小すると予測している。