Kevin Lynch氏
Kevin Lynch氏
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Lynch氏が薦める考え方
Lynch氏が薦める考え方
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スマートフォンで動作する試作例
スマートフォンで動作する試作例
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パソコン向けの試作例
パソコン向けの試作例
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 「従来のアプリケーション開発は,まずはパソコン画面での利用を前提に発想してきた。これからはそれが変わる。まず,モバイルでの利用から発想していく」――。「Emerging Technology Conference(ETech)」の3日目,米Adobe Systems Inc.のchief technology officer and senior vice presidentであるKevin Lynch氏は,講演でこのように語った。

 Lynch氏の主張は,パソコンより携帯電話機でインターネット接続しているユーザーの数が多いことなどを背景としている。ソフトウエア開発者は,まずプロセサの処理能力が比較的低い携帯電話機にフォーカスし,その後もっと高性能のスマートフォンやMIDに展開していくという筋道が求められるとする。Lynch氏によれば,Adobe社は既に,こうした発想の基に自社の開発体制を一新したという。例えば,以前であれば同社の「Adobe Flash」技術はまずパソコン向けのバージョンから開発し,その後携帯機器向けに変更するという順番だった。それを現在では,パソコンおよび携帯機器向けの両バージョンを同時に開発しているという。「これは我々にとって大きな変化だ」(Lynch氏)。

 こうした発想の例として,Lynch氏は簡単な文章を記述する試作アプリケーションを紹介した。まずは「Adobe Flash Lite」技術で動作する携帯電話機のバージョンを見せた。このバージョンでは,通常の携帯電話機向けのアプリケーションと同様に操作アイコン類は画面の下に置いた。次に同じアプリケーションを「Adobe AIR」技術で動作するパソコンのバージョンで紹介した。この場合では,操作アイコン類は画面の上方に置いた。Adobe Flashで動作するWebアプリケーションのバージョンも見せた。この試作例のもう一つの特徴は,ユーザーが新しいデータを入力したら,その入力データをすべてのバージョンにおいて同期させられることである。「今後,こうした同期機能はとても重要になると思う」(Lynch氏)。