米Google Inc.は2009年3月3日,米国議会に対して「スマート・グリッド」の構築において非独占的な標準規格の採用を求める証言を行なった。Google社のAdvanced Projects Program ManagerであるEdward Lu氏が,米上院のSenate Committee on Energy and Natural Resources議会における証言で触れたもの。

 米国の景気をリーマン・ショックから立ち直ることを目指す合計7870億米ドル規模の「American Recovery and Reinvestment Act of 2009」においては,その予算規模のうちの45億米ドルを,米国の電力網インフラを高度化させるために用いる予定だ。この予算の大部分は,電力網インフラに通信技術などを組み合わせた「スマート・グリッド」の構築に用いられるとの期待が高まっている。Lu氏が証言を提供した米上院議会の公聴会は,こうした高度な配電網実現に関する進展具合を調べるのが目的だった。

 Lu氏は,こうした高度な配電網の用途の一つとして,消費者がリアル・タイムに自分の電力消費や支払った電力料金の情報を与えることを提案した。同氏は証言の中で,こうした情報を得た消費者が電力消費を5~15%減らすという調査結果を挙げた。「仮に米国の家庭の1/2が電気使用量を10%減らしたら,800万台の自動車のCO2排出削減量に匹敵する」(Lu氏)。

 スマート配電網の実現における課題の一つは,情報通信の標準規格の策定である。Lu氏は,消費者に電気消費関連の情報を効率良く提供するため,上院議会に対してオープンな標準技術の採用を提案した。同氏は「標準化された技術で,自由に公開でき,特許などのクレームが生じないもの」(Lu氏)とした。

 こうしたオープン・フォーマットの例としてLu氏は,Google社の「Google Power Meter」と呼ぶソフトウエア・ツール(同ソフトウエアのWebサイト)を紹介した。このツールは,利用者が自身の電力使用量を把握できる。このソフトウエアは,電力メーターや家庭内の各種機器と通信して電力使用量を把握し,Webページで公開する。Lu氏によれば,Google社はいくつかの家電メーカーや電力事業者に,Google Power Meterの採用に向けた試験プログラムを用意しているという。