米Intel Corp.と台湾Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC社)は,Intel社の「Atom」マイクロプロセサの製造を中心にした戦略的な合意を結んだと発表した(発表資料)。この合意でTSMC社はAtomコアを搭載したSoC製品の製造が可能になる。Intel社は,同社のAtomコアの技術をTSMC社のプロセスやライブラリー,デザイン・フローなどに移植する。
Intel社の本社で行われた記者会見では,同社Executive Vice President兼Chief Sales and Marketing OfficerであるSean Maloney氏は,「今後はより多くの組み込み機器がインターネット接続を必要とするようになる。今回の合意で我々は,Atomの市場開拓にTSMC社のエコシステムを利用できる」と説明した。同席したTSMC社のPresident and Chief Executive OfficerのRick Tsai氏は「この合意は,AtomのSoC市場の拡大だけでなく,半導体市場全体の活性化に繋がるだろう」とコメントした。
今回の合意でIntel社は,TSMC社のインフラを採用する顧客に,Atomを使ったSoCを売り込むことに狙っている。Intel社は今後も今まで通り,AtomマイクロプロセサやAtomコアを使ったSoC製品の独自生産や開発を続ける。TSMC社製のAtomコアSoCはIntel社が開発したAtomコアSoCを,TSMC社の顧客の要求に合わせてカスタマイズした派生製品となる。会見でMaloney氏は,Intel社が独自の製造技術に今後も注力すること,今回の発表が,Atomコア技術を幅広く業界にライセンスするという意味ではないと強調した。
Intel社は,TSMC社が製造するAtomコアSoCが,組み込み機器や家電機器,ミニノート,携帯端末といった市場で利用されることを期待している。しかし,TSMC社製のAtomコアSoCが市場に登場する時期や規模,採用される製造技術などの具体的な情報は今回の会見では明かさなかった。Intel社のMaloney氏は,「この合意の実行に,両社は切迫感を持っている」とだけコメントした。