図1 超小型で「ギネスブックに世界最小の携帯電話機として認定された」(modu社)という基本モジュール。端末下部の側面に二つの端子がある。右側がUSBインタフェース,左側がmodu独自の外部インタフェースである
図1 超小型で「ギネスブックに世界最小の携帯電話機として認定された」(modu社)という基本モジュール。端末下部の側面に二つの端子がある。右側がUSBインタフェース,左側がmodu独自の外部インタフェースである
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図2 jacketに基本モジュールを挿入すると,jacketの品種を識別し,動作させるソフトウエアを切り替える
図2 jacketに基本モジュールを挿入すると,jacketの品種を識別し,動作させるソフトウエアを切り替える
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図3 modu社が出展していた,スライド型の筐体。基本モジュールよりも大きなディスプレイを備える
図3 modu社が出展していた,スライド型の筐体。基本モジュールよりも大きなディスプレイを備える
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 イスラエルmodu Ltd.は,スペインのバルセロナで開催された「Mobile World Congress 2009」に,形や機能が変わるケータイを出展した(Tech-On!の第1報記事図1)。「携帯電話機は,ユーザーや利用シーンによって異なるべき。すべての携帯電話機が同じような機能を持っているのは面白くない」(modu社の説明員)。

 同社の製品は,携帯電話機能を備えた基本モジュール「modu」と,moduと組み合わせて利用する「modu jacket」から成る。このjacketは同社のほか,パートナー企業が開発する。今回のMWCでは中国PCH International社が,米Harman International Industries, Inc.の「JBL」ブランドのスピーカーを搭載したjacketを開発することを新たに発表した。

 基本モジュールであるmoduは,72.1mm×37.6mm×7.8mmと小型で,重さが40.1gのGPRS対応携帯電話機である(図1)。ボタンは上下左右の4方向と,決定ボタンの5個のみ。GSM網による通話機能や電話帳機能,MP3の音楽再生機能などを備える。充電やパソコンとのデータ交換などに使うUSBインタフェースを搭載するほか,modu社独自のjacket接続用インタフェースを備える。「この専用インタフェースは,パートナー企業との守秘義務契約の下でのみ開示している仕様であり,どんな技術が基になっているかも言えない。これはmoduの最も大事な部分の一つだ」(説明員)。

 基本モジュールをjacketに接続すると,基本モジュールは接続されたjacketがどの品種であるかを識別し,そのjacketに合った操作画面を表示する(図2)。modu社は今後登場する新しいjacketに対応するために,基本モジュールのソフトウエアを適宜更新していくとする。

 modu社はjacketとして,大きなディスプレイを持つものや,QWERTYキーボードを持つもの,カメラ機能を持つものなどを開発できるとする(図3)。「jacketが備える機能を駆動するためのソフトウエアをあらかじめmoduに入れてあり,jacketと接続するとそれらのソフトウエアが有効になる」(説明員)。moduとjacketを接続する専用インタフェースを通じて,jacketに対するディスプレイ信号を出力したり,jaketからキーボードの入力信号を受け取ったりできるようにしているようだ。また,「高い処理性能を持つjacketが1台のコンピュータとして各種の処理を行い,moduを外部通信モジュールとして用いることも可能」(同)という。

 なお,大きなディスプレイを備えるものなど高機能なjacketには,別に電池を備えることになるという。「moduは小型化を優先しており,備える電池の容量が小さいからだ。jacketが備える外部の電池からmoduに給電することも可能にしている」(説明員)。

 modu社は今回のMWCで,スペインTelefonica S.A.がメキシコ,アルゼンチン,チリの3カ国で近日中にmoduの試験を開始することと,Lynk Communications, Inc.がフィリピンなど東南アジア数カ国でのmoduの販売契約をmodu社と締結したことを発表した。Lynk Communications社は2009年第2四半期にmoduの販売を開始する計画である。