執行役員 管理本部長の坂田憲治氏
執行役員 管理本部長の坂田憲治氏
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 船井電機は,2008年4月~12月の9カ月累計の業績を発表した。売上高は前年同期比6.3%増の2400億円,営業利益は同154.7%増の32億円だった。セットトップ・ボックス(STB)の米国特需やBlu-ray Discプレーヤの投入効果により,低調だった前年からは回復している。通期(2008年4月~2009年3月)の業績予想は,売上高が前年度比9.7%増の3040億円,営業損益は前年同期の24億円の赤字から改善して5億円の黒字を見込む。2008年秋以降,世界経済の停滞の影響を受けて,液晶テレビやDVD機器で採算が悪化しているものの「なんとしても営業利益を確保する」(執行役員 管理本部長の坂田憲治氏)とV字回復を誓った。

 映像機器は,9カ月累計でみると売上高が前年同期比で20%以上,伸びている。DVD機器(Blu-ray Discプレーヤを含めない)やVHS機器,CRTテレビの市場縮小をBlu-ray DiscプレーヤやSTB,液晶テレビの伸長が補った。船井電機はBlu-ray Discプレーヤを2008年4月に本格投入しており,同事業の売り上げはそのまま前年同期に対する増収になる。STBは米国のアナログ放送停波に向けた特需で売り上げを伸ばしている(Tech-On!関連記事1)。

 液晶テレビの売り上げは9カ月累計で,前年同期比42%増の1029億円と大きく伸びた。「Philips」ブランドの液晶テレビを北米で販売するP&F USA, Inc.の業績が寄与している(Tech-On!関連記事2)。P&F社の売り上げは2008年10月~12月期実績で260億円,2009年1月~3月期は180億円程度といい,期初計画の通期500億円をやや下回るものの,利益は数億円を確保する見通し。

 船井電機は2009年度に液晶テレビの販売台数を,前年度より100万台以上多い500万台へ拡大する計画で,この1/2程度がPhilipsブランドになる見込み。同社は2009年から32型以下のPhilipsテレビを同社の中国委託工場で生産,32型を超える機種は他社のメキシコ工場に生産委託する体制を採っている(Tech-On!関連記事3)。このようにPhilipsテレビの北米向け生産を引き継いだ関係で,オランダRoyal Philips Electronics社の液晶パネル供給元だった韓国LG Display Co., Ltd.が船井電機の調達先に加わった。従来から調達している台湾Chi Mei Optoelectronics Corp.との併用で,今後もLG Display社から供給を受けるという。「(1社体制で調達に失敗した)苦い教訓もあるので,調達先を1社に絞る考えはない。できるだけ多くの調達先を持っていたい」(坂田氏)。

 船井電機は,2009年度の業績目標について,具体的な数値は明らかにしなかったものの「2008年度よりもチャレンジングな目標を掲げたい」(坂田氏)とした。不採算の欧州事業の再編を進める一方で,PhilipsブランドのDVD機器の北米向け販売に乗り出すなどして,事業の拡大を図る。