アルプス電気は,2008年第3四半期(2008年10~12月)の連結決算を発表した。物流事業以外はすべて減収減益となり,売上高は前年同期比32%減の1203億円,営業損益は前年同期の65億円の黒字から119億円の赤字へと転じた。主力の電子部品事業が,自動車や携帯電話機市場の需要減退の影響を受けて大きく落ち込んだ。これに伴い,2009年3月期の通期業績見通しも下方修正した。売上高は2008年9月の見通しから1200億円減って5400億円に,営業損益は同125億円の黒字見通しだったが405億円の赤字転落を見込む。当期純利益も530億円の損失となる見込みで,「2008年11月ころから雲行きが怪しくなり,その後の売り上げ低下はフリーフォール状態。かつてない大幅な赤字決算」(同社)だという。

 同時に今後の緊急収益改善施策と構造改革案も発表した。収益改善施策としては,賃金や賞与の削減によって年間60億円,一般経費や設備投資の絞り込みによって同90億円の削減を図るとしている。具体的には,既に実施している取締役の報酬削減,管理職の賃金削減を拡大するほか,一般社員の賃金5%削減や基本昇給停止などを労働組合(同社は労働委員会と呼んでいる)に申し入れた。また,2008年8月にはグローバルで4万1000人いた人員を2009年3月までに2万8000人まで絞り込む。非正規社員1万人を削減するという。国内でも非正規社員1000人を削減する計画だ。

 構造改革としては,これまでの工場を中心としたアルプス電気本体の事業部制を見直す。従来は,コンポーネント,通信デバイス,ペリフェラル,車載電装の各事業部が技術開発と生産を担い,販売を受け持つ営業本部は共通だった。改革案では,販売と技術を一体化し,自動車関連はAUTO(automotive)事業本部に,それ以外をHMI(home,mobile&industry)事業本部に集約する。生産機能はMMP(mechatronics,materials&process)事業本部に統合する。営業と技術をまとめることで,顧客への提案力を高めるのが狙いだ。併せて,海外で5拠点程度,国内で数拠点程度の拠点統廃合も計画しており,それらも含めて2009~2010年度に構造改革を完了させたいとしている。