決算発表する執行役専務の中村豊明氏
決算発表する執行役専務の中村豊明氏
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 日立製作所は,2008年第3四半期(2008年10月~12月)の連結決算を発表した。自動車向けや産業機器の需要減退が響き,全部門で前年同期に比べて減収となった。営業利益は,情報通信システム部門はプロジェクト・マネジメントなどが奏効し黒字となったものの,電力・産業システムや高機能材料部門で減益が大きく,連結で145億円の赤字だった(前年同期は778億円の利益)。「10%以上減収となるのは2001年以来。需要減と円高が響いた」(同社執行役専務の中村豊明氏)。

 部門別に見ると,自動車部門を抱える電力・産業システム部門の悪化が著しい。日立建機の不振と,「9月頃から一気に落ち込んだ」(中村氏)自動車部門の落ち込みによって,売上高は前年同期比15%減の7025億円となり,営業損益は254億円の損失となった。「自動車メーカーの減産の影響で,日立の人員や拠点の余剰感も大きい。2~3月で14日程度の一時帰休を予定している」(同氏)という。高機能材料部門も,自動車業界の需要低迷の影響を受けた。売上高は前年同期比22%減の3756億円,営業損益は前年の409億円から一転して5億円の損失となった。同部門の赤字は「2001年第4四半期以来」(同氏)。需要減退のほか銅価格の下落なども響いたとしている。赤字からの脱却を狙っていたデジタルメディア・民生機器部門も,売上高は前年同期比25%減の3093億円,営業損益は161億円と赤字幅が拡大した。赤字脱却に向けて固定費の削減に取り組んでいたが,需要低迷や価格下落に追いつかなかった。

 唯一増益だったのが情報通信システム部門である。売上高は前年同期比4%減と横ばいだったが,プロジェクト・マネジメントの強化などが効果を上げたほか,HDDの原価低減などによって前年同期比269%増の383億円の黒字となった。「受注の見える化で,リスクを冒して巨額受注するようなことがなくなった。平均7%以上の利益率を上げている」(同氏)という。

 今後,構造改革を進めて2000億円の固定費削減に取り組む。「まだ,需要は底を打っていないと感じる。まずは2000億円を目標にすぐにでも取り組み,足りなければ各事業部門と相談の上さらに追加する必要があるだろう」(中村氏)と迅速な対策が必要なことを強調した。2000億円のうち,コンシューマ製品関連で半分強,自動車で1/4程度を削減し,その他高機能材料や日立建機なども重点的に削減策を講じるという。また,不採算部門は「顧客や量販店と相談」(同氏)としながらも,撤退や外注,OEM化などを検討しているという。