富士通 経営執行役上席常務(CFO)の加藤和彦氏
富士通 経営執行役上席常務(CFO)の加藤和彦氏
[画像のクリックで拡大表示]

 富士通は2009年1月30日,2008年度第3四半期(2008年10~12月期)の決算を発表した(ニュース・リリース)。2008年4~12月期の売上高は対前年同期比8%減の3兆5076億円,営業利益は同85%減の133億円。国内SI事業やキャリア向けルーター事業は好調だったが,論理LSIや電子部品,携帯電話機などが足を引っ張った。

 2008年4~12月期の営業利益をセグメント別に見ると,SI事業やインフラ・サービスを手掛けるテクノロジーソリューション部門は対前年同期比6%増の776億円と好調だった。しかし,論理LSIや電子部品を含むデバイスソリューション部門が284億円の赤字,パソコンや携帯電話機,HDDを手掛けるユビキタスプロダクトソリューション部門が26億円の赤字となった。

 2008年度通期(2008年4月~2009年3月期)の売上高は対前年度比12%減の4兆7000億円,営業利益は同76%減の500億円を見込む。2008年10月時点の予想に比べて,売上高は3500億円,営業利益は1000億円,それぞれ下方修正している。営業利益をセグメント別に見ると,テクノロジーソリューション部門は対前年同期比5%増の1900億円となるものの,デバイスソリューション部門が700億円の赤字,ユビキタスプロダクトソリューション部門はトントンとなっている。

 デバイスソリューション部門の大幅な赤字を受け,富士通ではLSI事業の緊急施策を打ち出した。半導体前工程を担う岩手工場,会津若松工場,富士通セミコンダクターテクノロジ(FSET)のそれぞれで再編を進める。具体的には,岩手の150mmラインと会津若松の150mm第2ラインを,会津若松の150mm第1ラインに集約するほか,会津若松の200mmラインをFSETの200mmラインに統合する。これらの再編は2010年3月末までに完了する予定であり,今回の再編で影響を受ける2000人の従業員については,富士通グループ内で再配置を進める。

 また,会見では富士通 経営執行役上席常務(CFO)の加藤和彦氏が半導体業界再編の動きに関して次のようにコメントした。「先々,業界再編は必要だとは思うが,今やっても空回りするだけだ。今は体質強化の方を優先したい。ただ,国内における論理LSIの生産能力はかなり過剰なので,業界内の再編はあった方が良い。その波に乗り遅れないようにしていきたい」。