セイコーエプソンは,2008年度(2008年4月~2009年3月)の業績予想を下方修正した(発表資料)。売上高は前回予想から1250億円引き下げて前年度比15.6%減の1兆1380億円,営業利益は390億円引き下げて同89.6%減の60億円とした。純損益は270億円の黒字見込みから40億円の赤字見込みに転換した。

 セイコーエプソンによれば,2008年度上期は先進国市場に景気後退の影響が出ていたが,下期は新興国市場にも影響が波及しているという。今後もこの状況が継続・深刻化するとみられること,為替が円高に振れていることを理由に,同社は業績予想を見直した。

 事業別には,携帯電話機向け液晶モジュールや水晶デバイス,液晶ドライバICなどを扱う電子デバイス事業をとりまく環境が特に悪化しているという。同事業は通期に220億円の営業損失を計上する見通し。腕時計やICハンドラ,工業用インクジェット装置などを扱う精密機器事業も,前回予想では20億円の営業利益を見込んでいたものの,今回の修正予想では10億円の赤字見込みとした。

 セイコーエプソンは「これまでも業績が落ち込んでいる電子デバイス事業を中心に,構造改革に取り組んできたが,想定していた以上に事業環境が悪化しているため,もう一段の改革を検討していく」(同社広報)とする。なお,今回の予想にはこの構造改革費用は織り込んでいない。