取締役 専務執行役員の三浦氏
取締役 専務執行役員の三浦氏
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 リコーは,2008年度第3四半期(2008年9~12月)の決算を発表した(発表資料)。売上高は対前年同期比9.0%減の5020億円,営業利益は同56.9%減の213億円と減収減益だった。純損益は前年同期の黒字から赤字に転じ,48億円の損失を計上した。販売数量増による売上高の増加もあったものの,景気後退やユーロ安およびドル安など為替の影響を受けたという。為替の影響を除いた売上高は,前年同期比で2.3%増加した。

 売上高をプリンターや複合機などのハードウエアと消耗品などの非ハードウエアに分けると,第3四半期のハードウエアの日本での伸び率は対前年同期比20%減,海外は同3%減(為替の影響を除く),非ハードウエアの日本での伸び率は同2%減,海外では20%増(為替の影響を除く)だった。

 製品別に売上高を見ると,すべての部門で減収となった。プリンター複合機(MFP)などを扱う主力の「画像&ソリューション分野」が対前年同期比7.2%減の4439億円。国内と海外ともに売上高が減少した。同部門はこれまで10%以上の営業利益率を確保してきたが,第3四半期は9.3%に減少しており,同社の取締役 専務執行役員の三浦善司氏は「早急に改善したい」とした。電子デバイスなどを手掛ける「産業分野」は,対前年同期比24.4%減の259億円,デジタル・カメラなどを手掛ける「その他分野」は同17.7%減の321億円だった。

 地域別に見ると,日本の売上高は対前年同期比9.6%減の2210億円,米州は同22.8%増の1328億円,欧州は同22.6%減の1195億円,その他の地域は同35.9%減の285億円だった。ただし,米州の増収はほとんどが米IKON Office Solutions, Inc.の買収によるものという。

通期予想を再び下方修正

 リコーは,2008年度通期の業績予想を,前回の修正からさらに下方修正した。売上高は2兆1500億円と前回予想を据え置くものの,営業利益を500億円引き下げ1000億円に,純利益を520億円引き下げ350億円に変更する。国内外での需要の減少や想定を上回る円高が続いていることが要因という。

 この事業環境の悪化に対応し,経営体質の強化を図るため,リコーは現在「全社緊急対策&構造改革加速プログラム」を実施している。抜本的な収益構造改革に取り組み,全社での営業利益率10%以上を目指す。経費削減のほか,これまでの先行投資の効果の刈り取りや関連会社の統合,グループ資産のスリム化などを実施する。さらに,成長のための施策として,プロダクション・プリンティング事業の拡大などを行う。これらの取り組みによって,「心意気としては2008年度下期を底として,再び成長軌道に乗せたい」(三浦氏)とした。

 生産調整に伴う派遣社員の雇用調整については,基本的に契約期間内での契約解除はせず,2009年3月まで雇用削減に手をつけないとした。2009年4月以降については,リコーと国内の生産会社で600人ほどの余剰人員が出ると見込むが,このうちの350人は継続契約し,250人の契約を更新しないとする。350人の余剰人員については,正社員も含めて残業をなくしたり,労働時間の短縮などを取り入れることで雇用を維持するとした。