コニカミノルタホールディングスの2008年10月~12月期決算は純損益で赤字に転じた(PDF形式の発表資料)。連結売上高は前年同期比7%減の2136億6100万円,営業利益は同55%減の147億1400万円,純損失は19億3100万円だった。対米ドルや対ユーロの円高に加え,TACフィルムや光ピックアップ,ガラス製HDD基板などを扱う「オプト」事業の収益悪化が響いたという。「デジタル家電の需要が減退し,メーカーの在庫調整の煽りをモロに食らった。特に光ピックアップは上期(2008年4月~9月)までBlu-ray Disc向けなどが好調だっただけに落差は大きい。受注状況は上から下へまっさかさまという感じ」(常務執行役の松本泰男氏)。

 オプト事業の2008年10月~12月期の売上高は前年同期比27%減の371億円,営業利益は同96%減の5億円だった。TACフィルムの販売数量は前年同期に比べ31%減少。光ピックアップは47%減少した。携帯電話機向けレンズ・ユニット/カメラ・ユニットの販売数量も23%落ち込んだ。ガラス製HDD基板は販売数量では前年同期並みを維持したものの,価格は低下しているという。「年末商戦が盛り上がらず,デジタル家電の在庫は今もって過剰。オプト事業の受注は2009年1月~3月期も回復は見込めない」(松本氏)といい,同事業は1月~3月期に営業損失49億円を計上する見通し。

オプト事業の主要製品の販売数量動向(コニカミノルタの決算説明資料より)
オプト事業の主要製品の販売数量動向(コニカミノルタの決算説明資料より) (画像のクリックで拡大)

 プリンターなどを扱う「情報機器」事業の売上高は前年同期比19%減の1425億円,営業利益は同31%減の154億円だった。主力のプリンター複合機(MFP)の販売台数が前年同期比で10%減少した。これまで成長が続いていたカラー機も同2%減と初めて前年実績を下回った。

人員削減など構造改革に着手

 コニカミノルタは直近の状況を踏まえ,通期(2008年4月~2009年3月)の業績予想を下方修正した(発表資料)。売上高は前回予想から800億円引き下げて9550億円(前年度比10.9%減),営業利益は150億円引き下げて650億円(同45.7%減),純利益は250億円引き下げて170億円(同75.3%減)とした。

 今回の業績予想には95億円の構造改革費用を織り込んでいる。構造改革の一環として,同社は印刷フィルムなど不採算/低採算の事業を終息する。一方で,商用印刷機やTACフィルムなど,高収益が見込める分野で新製品を積極的に投入していくとした。また,生産量の落ちているオプト事業などを中心に,派遣社員を削減するという。正社員の雇用は維持する予定。今後の新卒採用に関しては,2009年4月入社分の内定取消などは行わないとし,ただし2010年4月入社分の採用は縮小するとした。

新社長はコニカ出身の松崎常務

 同社は決算発表と同時に,社長交代の人事を発表した(発表資料)。現・取締役 常務執行役の松崎正年氏(58歳)が2009年4月1日付で取締役 代表執行役社長に就任する。松崎氏は1976年に小西六写真工業に入社,情報機器の開発に携わってきた。現・取締役 代表執行役社長である太田義勝氏は取締役 取締役会議長に就任する。現・取締役 取締役会議長の岩居文雄氏は2009年3月31日付で退任し,同年6月開催の株主総会で取締役も辞任,特別顧問に就任する予定という。