新日本無線の常務取締役 IC事業部長の瀬戸祐一氏
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北九州市産業経済局 理事の廉屋則夫氏
北九州市産業経済局 理事の廉屋則夫氏
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 新日本無線は,福岡県北九州市の北九州学術研究都市(学研都市)内に「北九州デザインセンター」を2008年10月に開設したと発表した。カー・エレクトロニクスに向けたパワー回路部品やセンサなどの設計・開発を目指す。当初は4名の社員が勤務し,3年後に20名程度まで拡大することを見込む。2009年1月28日に東京都内で記者説明会を開催した。同説明会において北九州市は,新日本無線の進出により,学研都市に進出したエレクトロニクス関連企業が50社となったことを明らかにした。

 新日本無線は北九州デザインセンターの役割として,学研都市という場を通じての産学連携のネットワーク作りや情報交換,協同研究,人材採用・育成などを挙げる。新日本無線の常務取締役 IC事業部長の瀬戸祐一氏は,中長期の計画として車載用を含めたパワー・エレクトロニクスを同社の事業の柱の一つにしたい考えがあると述べ,そのためのネットワーク作りを進めるためには,「カーエレクトロニクス拠点構想」を策定して数々の施策を推進している学研都市が最適と判断したと説明した。

 北九州デザインセンターは,学研都市の「技術開発交流センター(産学連携センター5号館)」317号室に置く。同社の設計・開発拠点は,川越製作所(実際の所在地はふじみの市),大阪,シンガポールと合わせて4カ所となった。

 記者説明会では北九州市産業経済局 理事の廉屋則夫氏が,学研都市ならびに「カーエレクトロニクス拠点構想」の概要と現状を説明した。学研都市は1989年に基本構想を策定し,2001年4月に開設した。この間,2000年4月には「エレクトロニクス産業拠点構想」を策定,半導体設計を中心としたエレクトロニクス産業の国際的拠点を目指すとした。2001年4月には「SoC設計センター(現在の半導体技術センター)」を設置した。

 九州北部は自動車生産拠点が集中していることや,カー・エレクトロニクス分野の技術開発と人材育成の必要が高まったことを受けて,2006年8月に「カーエレクトロニクス拠点構想」を策定。2007年7月には「カーエレクトロニクスセンター」を開設し,組み込みソフトウエアの人材育成に向けた実習講座などを実施し,カリキュラム作成を進めて来た。2009年4月には学研都市にキャンパスを持つ北九州市立大学,九州工業大学,早稲田大学が参加した「北九州学術研究都市連携大学院」が開設される。