営業損益,純損益の概況(単位:兆ウォン)
営業損益,純損益の概況(単位:兆ウォン)
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 韓国Samsung Electronics Co., Ltd.の2008年10月~12月期決算は赤字に転じた。売上高は前年同期比6%増の18兆4504億ウォン,営業損失は9371億ウォン,純損失は222億ウォンだった。これまでも赤字だったデジタル家電事業だけでなく,前期までは黒字を確保していた半導体事業と液晶パネル事業でも営業損失を計上した。

 半導体事業の売上高は前年同期比20%減の3兆9200億ウォン,営業損失は5600億ウォンだった。Samsung社によれば,DRAM市場はメーカー各社が生産調整したにもかかわらず,需要の急減のため供給過剰状態が続いたという。背景として同社は,例年なら前期から15%ほど増加するパソコンの出荷台数が当期は逆に2%落ち込んだこと,いわゆるネットブックの市場拡大でパソコン1台当たりのDRAM搭載容量が伸びなかったことが大きいと説明する。供給過剰を受け,DRAMのスポット価格は1GビットDDR2型で前期から48%低下した。NANDフラッシュ・メモリも携帯電話機やデジタル家電向け需要が減退し,流通過程や顧客メーカーで在庫がかさんだという。システムLSIは,市況が悪化する中で利益率を従来並みに維持したとする。

DRAM市況,2009年上期はまだ停滞

 DRAMの供給過剰状態は2009年上期も続き,下期に入って改善するとSamsung社は予測する。同社は世界経済の冷え込みを「業界でのリーダーシップを強めるチャンス」と評し,DRAMでは2GビットDDR2型や1GビットDDR3型,NANDフラッシュ・メモリでは携帯機器向けの高容量品やSSDなどに注力するとした。

 液晶パネル事業の売上高は前年同期比6%減の4兆1200億ウォン,営業損失は3500億ウォンだった。顧客メーカーの在庫調整により,大型液晶パネルの出荷数量は前期比で10%減少。ただし,テレビ向けは伸びており,四半期で初めて600万枚を超えた。平均販売単価はわずかに低下したといい,業界平均(前期比19%低下)より下落幅は小さかったとする。Samsung社は液晶パネル市場の回復は2009年下期と予測する。同社はノート・パソコン向けにはアスペクト比が16:9の品種やLEDバックライト採用品,テレビ向けには52型を超える大型品や240Hz駆動品などを拡販し,この市場でも主導的な立場を強めたいとした。

2009年に携帯電話機2億台出荷めざす

 通信事業の売上高は前年同期比44%増の7兆7300億ウォン,営業利益は同72%減の1600億ウォンだった。携帯電話機の出荷台数は前年同期比14%増の5280万台だった。成熟市場ではタッチパネル採用機やスマートフォンが,新興市場ではカメラ付きの中級機が売り上げを伸ばしているという。ただし,平均販売単価は前期比で10%低下し,このため利益率が落ちている。

 Samsung社は携帯電話機の2009年の世界市場規模は前年比で5~10%程度,縮小すると予測。第1四半期(1月~3月)に限れば前年同期比で10~15%落ち込むとみている。Samsung社は,2008年の約1億9700万台に対し,年間2億台の出荷を目指す。また,モバイルWiMAX設備の供給を米国や日本など向けに加速するとした。