台湾の調査会社DRAMeXchange Tech. Inc.は,2009年のDRAM産業の設備投資額が前年比で40~50%減少するとの見通しを発表した(発表資料)。同社が推定する2008年の設備投資額は134億2530万米ドルだが,これが2009年には70億6400万米ドルにまで落ち込む見込み。

DRAM産業の設備投資額の推移
DRAM産業の設備投資額の推移 (画像のクリックで拡大)

 DRAMeXchange社によれば,今後,台湾のメーカーであるPowerchip Semiconductor Corp.(PSC)やRexchip Electronics Corp.は,50nm世代のプロセス技術導入のスケジュールを遅らせ,65nm世代への移行のみを進める予定という。これによって,競争力を維持するとともに設備投資額を大幅に抑える。台湾Nanya Technology Corp.と台湾Inotera Memories, Inc.は,米Micron Technology, Inc.のスタック技術へ切り替え,設備投資額の大幅な削減はできないものの,技術移行はより細かい段階を踏んで行う見込みという。最初の段階として68nm世代のプロセス技術を導入し,市況を見ながら50nm世代のプロセス技術導入を決定する。韓国Samsung Electronics Co., Ltd.も設備投資額を削減する計画で,これが68nm世代から56nm世代へのプロセス技術の移行や,DDR3方式品の市場シェアに影響する見通しとDRAMeXchange社は説明する。

 DRAMeXchange社は,DRAM価格の動向も発表した。スポット価格は安定して上昇傾向を維持している。2008年12月30日~2009年1月5日における1GビットDDR2-DRAMのeTTチップのスポット価格は0.91米ドル。最低水準だった0.59米ドルと比べると55%程度上昇している。同期間の1GビットDDR2-DRAMの677MHzチップの価格も0.77米ドルで,回復してきている。

 価格が上昇している要因は,米国と欧州市場が年末年始の休暇中に動いておらず,アジア市場のみが動いていたためという。さらに,メーカーが生産調整していることも効いている。PSCが2008年9月に生産調整を発表した後,エルピーダメモリ,台湾ProMOS Technologies Inc.,Nanya Technology社,Inotera Memories社が相次いで生産調整を発表した。DRAM産業全体で見ると,生産能力の削減量は約20%に及んでいる。スポット市場の主要な供給元である台湾メーカーは,29%もの生産調整を行っており,その結果,スポット市場の供給量は全体で36%も減少したという。