生産投入式で弓を引く,China SunergyのCEO王潤生氏。「開弓」と「開工」は中国語の発音が同じであり,工作(稼働)開始の意味を表している。China Sunergy提供。
生産投入式で弓を引く,China SunergyのCEO王潤生氏。「開弓」と「開工」は中国語の発音が同じであり,工作(稼働)開始の意味を表している。China Sunergy提供。
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China Sunergy上海基地の定礎式。China Sunergy提供。
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 中国の太陽電池メーカーChina Sunergy Co., Ltd.(中電電気光伏公司)は,中国改革開放30周年の記念日にあたる2008年12月18日に,南京基地で3期目の生産ラインの生産開始式典を行った。この3期目の生産ラインは,4本の高効率SE(現在の製造プロセス設備とp型ウエハーを基に性能を改善した単結晶Si太陽電池の一種)セル・ラインで構成している。同社では今回生産を開始したラインが加わったことで,従来の4本のHP(通常のP型単結晶太陽電池)セル・ライン,1本のP型多結晶太陽電池セル・ラインと併せて,10本の生産ラインを保有することになった。その結果,全体の生産能力は320MWになった。

 式典には,同社の董事長・陸廷秀氏(Tingxiu Lu),CEO王潤生氏(Allen Wang)とCTO趙建華氏(Jianhua Zhao)らが出席した。そして王氏が,第三期目生産ラインの生産開始を宣言し,弓を引いた。同社は,これに先立つ11月28日に,上海市松江区の西部科技園区で,研究開発拠点と製造拠点の機能を併せ持つ上海基地の定礎式を行った。この上海基地が完成すれば,南京基地と共に,結晶型太陽電池の研究開発,生産と供給の中枢となる。上海基地の規模は,敷地面積が10万m2であり,世界でも先進的な内容と規模の研究開発センターと製造工場を作る予定である。将来,この基地での生産能力は400MWを計画している。研究開発と生産を同じ場所で行うことで,技術主導での事業の優勢性と競争力を培っていく。

 同社は,2008年第3四半期の決算報告書で,「今年および来年の生産とその拡大に向けて必要になる現金を十分持っている」としている。2008年の第3四半期までに,既に来年の生産枠分の93MWを受注した。さらに12月には,22MW分を受注している。2009年は,180~210MWの生産予定である。つまり,2009年予定している生産量の半分以上の出荷先をすでに確保している計算である。また2009年から,N型ウエハー太陽電池を量産する予定ある。同社は,2007年7月にN型ウエーハを使用した太陽電池の特許を中国国家特許局から取得しており,試験室レベルでは,転換効率が19%に達している。

 China Sunergyは,世界の太陽電池産業の中では,高効率の太陽電池セルの研究開発と製造を専門に行っている数少ない企業の一つであり,既にNASDAQに上場している。単に規模の拡大を追うのではなく,高効率太陽電池の開発といった技術主導での付加価値工場に注力している点が特徴である。

注)日経マイクロデバイス2009年1月号では,中国の太陽電池産業の現状と今後目指す方向を取材し,レポートしています。