B-CASカード方式に代わる四つの方式。デジコン委第47回で配付された資料
B-CASカード方式に代わる四つの方式。デジコン委第47回で配付された資料
[画像のクリックで拡大表示]

 2008年12月22日,「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会(デジコン委)」(情報通信審議会の下部組織)の第47回会合が開かれた。同委の下部組織である「技術検討WG」で検討が進められてきた「放送コンテンツ保護に係わる技術・契約によるエンフォースメントの在り方」――いわゆる「B-CASカード見直し」の経過が報告された。

 今回,現行のB-CASカード方式に追加するエンフォースメントの方式として,1. 小型化カード,2. カードの事前実装,3. チップ,4. ソフトウエアの4種類を提示し,それぞれの方式の概要やメリット,課題などを説明した。ただし今回は,「あくまで選択肢の整理であって,どれが良いかという議論はこれから」(デジコン委 主査の慶応大学 村井純氏)になる。

 1と2の方式は現行B-CASカード方式の改良案。1は現状より大幅に小型化したカードを使う以外は,現行方式とほぼ同じ枠組みで運用する。2はB-CASカードをメーカーや販売店が事前に挿入して機器を販売できるというもの。現行方式では,視聴者が自らカードを受信機に挿入する建前になっているが,これを無くすメリットがある。1と2の方式はいずれもライセンス管理は現行と同じビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ(B-CAS社)が担当する。

 3は暗号鍵を含むコンテンツ保護の機能をチップに集約する。機器メーカーはチップを部品として購入して機器に実装して出荷する形になる。4はこれをソフトウエアとして実装する方式になる。いずれも製品の商品企画上の自由度が上がるメリットがある。一方で,カードを消費者に貸与する方式ではなくなるため,ライセンス管理会社やメーカーなどの間で,責任分担のスキームを再検討する必要がある。また,ライセンス管理会社は現行のB-CAS社である必要はなくなる。

 今回の議論は同委が2008年8月に公表した第五次中間答申で「今後重点的に検討すべき課題」として挙げたことを受けて進められてきたもの。また,「現行B-CASカード方式は既に普及しており,消費者保護の観点からも現行方式を止めてしまうのは必ずしも適当でない」(総務省 情報通信政策局 コンテンツ流通促進室 室長の小笠原陽一氏)ため,「B-CASカード方式を継続する前提で,視聴者の選択肢を増やすために追加する方式」(小笠原氏)という位置付けになる。

この記事を英語で読む