図1 三洋電機のフルHD対応の監視カメラ
図1 三洋電機のフルHD対応の監視カメラ
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 三洋電機は,ビデオ・カメラ「Xacti」の技術を応用した監視カメラ「フルHDネットワークカメラ『VCC-HDN1(S)』」を発売した。1920×1080画素のいわゆるフルHDに対応させた上で10倍ズームの光学機構を搭載し,ビデオ・カメラとそん色のない仕様にしたという。撮像素子にはソニー製のCMOSセンサを採用する。光学サイズは1/2.5型で,画素数は約400万である。希望小売価格は29万4000円。月産台数は500台とする。

 三洋電機では今回の製品を,ビデオ・カメラ「Xacti」を手掛ける事業部が開発した。このため,画像処理エンジンなどにXactiの技術を簡単に流用できたという。これにより,少ない開発工数で,他社に先駆けてフルHDに対応できたとする。「開発期間は1年程度」(三洋電機)である。

ビデオ・カメラの事業部だから技術を応用しやすい

 現在,監視カメラ市場は,世の中のセキュリティーに対する意識の高まりを背景に着実に拡大している。三洋電機によると,2007年度から2009年度にかけて,世界市場は1140万台から1500万台になる。こうした市場の拡大を背景に,ビデオ・カメラを手掛けるメーカーの多くが,監視カメラも開発している。

 ここで,各社の開発体制の主流は,車載カメラの事業部が監視カメラを開発する体制である。例えばソニーやパナソニックなどが当たる。監視カメラに求められる性能が,ビデオ・カメラよりも車載カメラに似ているためだ。

 特に画素数と耐用年数が似ている。監視カメラの画素数は,せいぜい30万程度である。これは車載カメラの画素数とほぼ同じであり,車載カメラ向け画像処理エンジンは監視カメラに転用しやすい。耐用年数についても,車載カメラと監視カメラはほぼ同様で,10年程度と長い年数が求められる。このため,材料や機構設計などを流用しやすい。

 こうしてみると,三洋電機の開発体制は一見,主流に反しているように思える。だが同社では,監視カメラ市場は今後,「数百万画素の製品が求められるようになる」(同社)とみている。数百万画素となれば,ビデオ・カメラを手掛ける事業部で監視カメラの開発を手掛ける方が技術を応用しやすいという。

 三洋電機はこれに併せて,ダイナミック・レンジが65dBと広い監視カメラ「ワイドダイナミックカラーカメラ『VCC-WD390』」も発売すると発表した。特徴は,日本テキサス・インスツルメンツの開発した高感度CMOSセンサを採用したことである(関連記事)。希望小売価格は10万2900円で,発売日は2009年2月20日である。画像処理装置には米Xilinx製のFPGAを採用した。

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