パナソニックや米Intel Corp.などが設立した業界団体である米HomeGrid Forumは米国時間の2008年12月19日,家庭の同軸ケーブル,電話線,電力線に対して,いわゆるマルチメディア向けの通信仕様を統一する次世代ホーム・ネットワーキング仕様「ITU-T G.hn」の標準化が大きく前進したと明らかにした。同12月12日にスイスのジュネーブで開かれたITU-T(国際電気通信連合標準化部門)の会合で,ITU-TがG.hnの物理層の仕様「ITU-T G.9960勧告」に合意したことを指したもの。合意した国には,日本,英国,ノルウェー,イスラエルなどが含まれるという。

 G.hnは,今後普及する可能性があるIPTVなどに向けて,宅内の異なる伝送媒体の上で,高速な物理層とMAC層の仕様を統一するのが狙い。具体的には,データ伝送速度に最大1Gビット/秒,誤り訂正符号としてLDPC(low density parity check)を利用する,ことなどが決まっている。ITU-Tは今後,主にMAC層の仕様の標準化を進め,2009年9月に作業を完了させる計画である。

 G.hnのターゲットは,パソコン,電話機,ゲーム機,テレビ,DVDプレーヤ,セットトップボックス(STB),ブロードバンド・ルーターなど。HomeGrid ForumのPresidentであるMatthew Theall氏は,調査会社の米ABI Research社の「2010年に通信事業者向け機器での対応が始まり,2013年には4200万台の対応機器が発売される」という報告に触れ,今後急速に普及する見通しだと述べた。

 HomeGrid Forumは「無線LANのWi-Fi Allianceと同様に,仕様の普及促進と相互接続性の浸透を図るのが活動目的」(Theall氏)。現在,4社のボード・メンバーと,4社のプロモータなどから成る。ボード・メンバーは,2008年4月に同Forumを設立したIntel社,ドイツInfineon Technologies AG,パナソニック,米Texas Instruments Inc.の4社である。プロモータには,電力線通信などを手がけるスペインDS2社,米CopperGate Communication, Inc.,同軸ケーブル通信の米Pulse~Link,Inc.などが参加している。