手前がショッピング・センター「The Dubai Mall」。後ろにそびえるのが,世界最高を誇る超高層ビル「Burj Dubai」。当初は2008年完成予定だったが,未だに工事中である。
手前がショッピング・センター「The Dubai Mall」。後ろにそびえるのが,世界最高を誇る超高層ビル「Burj Dubai」。当初は2008年完成予定だったが,未だに工事中である。
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The Dubai Mallに店舗を構える大型家電量販店「PLUG−INS」。
The Dubai Mallに店舗を構える大型家電量販店「PLUG−INS」。
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パナソニックの103インチのPDPテレビが販売されていた。価格は12万9990ディルハム(約364万円)。高級車並みの価格だが,中東では引き合いがあるという。
パナソニックの103インチのPDPテレビが販売されていた。価格は12万9990ディルハム(約364万円)。高級車並みの価格だが,中東では引き合いがあるという。
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デイラ地区にある昔ながらの商店街。他の中東諸国や西南アジア,アフリカから多くの貿易商が商品を買い付けにくる。夜9時を過ぎても,ほとんどすべての店が営業中であり,大変多くの人でにぎわっている。
デイラ地区にある昔ながらの商店街。他の中東諸国や西南アジア,アフリカから多くの貿易商が商品を買い付けにくる。夜9時を過ぎても,ほとんどすべての店が営業中であり,大変多くの人でにぎわっている。
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 コバルト・ブルーの海に超高級ホテル,そして数々のショッピング・モール。日本人がドバイに対して抱いているイメージで最も多いのが,「高級リゾート」であろう。

 しかしその歴史は非常に浅い。せいぜい,ここ7~8年のことである。昔ながらのドバイの顔は,日本で言えば下町に当たるデイラ地区に行けば見ることができる。今日は,ドバイの新しい顔と古い顔を見てきた。

 まず,新しい顔であるが,先月にオープンしたばかりのショッピング・センター「The Dubai Mall」を訪ねた。The Dubai Mallは,台湾の超高層ビル「台北101」を抜いて世界一の高さになった「Burj Dubai(ブルジュ・ドバイ)」に隣接する。床面積は東京ドームの23個分。世界最大級であることをうたう。現在は600店舗が開店しているが,今後さらに600店舗が入居するという。

 巨大なショッピング・センターは日本でも増えているが,このスケールのものは見たことがない。「巨大=道を間違えると大変」ということで,早速,タクシー乗り場の位置を勘違いしていたら,1kmほど無駄に歩かされることになった。

 それは余談として,The Dubai Mallに来た目的はショッピングではなく,最近ドバイでも増えている大型家電量販店を視察するためである。訪問したのは「PLUG-INS」。「One Stop Shopping」を標榜しているだけあって,品揃えは充実しており,しかも米国でよく見かけるように「単に商品を置いてある」のではなく,各メーカーごとに棚を作って陳列してある。日本の最大手とまではいかないが,そこそこの規模の家電量販店にかなり似ている印象を受けた。

 陳列している商品も日本と比べて「時差」はほとんどないようだ。テレビはすべて薄型で,CRTテレビは見当たらない。とんでもない金持ちがいる中東らしく,パナソニックは103インチのPDPテレビを販売していた。

 The Dubai Mallのエレクトロニクス・セクションには,PLUG-INSのほかに,地元の大手家電量販店の「Sharaf DG」,そしてソニー,韓国Samsung Electronics社,LG Electronics社,キヤノンなどの大手メーカーが直営店を構えている。まさにここに来れば,One Stop Shoppingができるわけだ。

 そしてドバイのもう一つの顔であるデイラ地区を訪ねたのは夜である。The Dubai Mallはオープンしたばかりのせいか,もしくは広すぎるせいか閑散としていたが,こちらは対照的に活気に満ち溢れている。分かりやすく言えば,「秋葉原+御徒町+ニューヨーク」みたいな所だ。つまり,電気店,シルク・ショップ,宝石店など無数の店舗が軒を連ね,世界各国から人々が大挙して集っているのだ。

 実はこれこそが中東諸国,アフリカ,西南アジアを結ぶ「中継貿易地」として発展してきたドバイの本来の姿なのである。デイラ地区には商品を買い付けに,貿易商が他の国からやってくる。

 最近では大手家電メーカーの取引の中心は,デイラ地区などにある小規模の電気店から大型家電量販店にシフトしつつあるという。しかし,大規模なショッピング・センターが乱立するなかでも,昔から続いてきた営みにちっとも衰える気配はない。今宵もおそらく深夜まで,活発な取引が行われるに違いない。