DRAM業界の設備投資規模の推移(IC Insights社の調査/予測)
DRAM業界の設備投資規模の推移(IC Insights社の調査/予測)
[画像のクリックで拡大表示]

 半導体関連の市場調査を手掛ける米IC Insights, Inc.は,DRAMメーカーが設備投資を抑制している現状を「過剰反応」と評価した(発表資料)。同社は2010~2011年にDRAM需要が回復するとみており「このままではDRAMメーカーはその強い需要に応えられない」と予測する。このため,DRAMの平均販売単価は2010年に急上昇を始めるとみる。

 まず,現状に関してIC Insights社は「2006~2007年に過剰な設備投資を行ったせいで2008年のDRAM市場は前年比20%減という壊滅的な状況に陥っている」とみている。DRAM業界全体の設備投資規模は,2004~2005年は193億米ドルだったのに比べ,2006~2007年は343億米ドルまで拡大。供給過剰局面に入ったという。現在,DRAMメーカー各社は世界経済の悪化に合わせて設備投資を抑えているが,その抑制幅が過剰だとIC Insights社は主張する。同社の予測によれば,2008~2009年の業界の設備投資額は169億米ドルで,2004~2005年実績を12%下回るという。

 2009年に世界経済が不況から立ち直れば,DRAMを搭載する電子機器の需要も2010年以降は再び成長していくとIC Insights社は予測する。同社は世界不況後のDRAM市場に関して「設備投資を抑えていたDRAMメーカーの供給は追いつかず,価格が上がる。DRAMメーカーは自信を取り戻して2010年には設備投資をやや増大,2011年には大幅に増やしてくる。この投資規模でDRAM市場の回復がいつまで続くものか決まるだろう」との見方を示した。