ドイツInfineon Technologies AGは,2008年会計年度第4四半期(2008年7~9月)の決算を発表した(発表資料)。売上高は対前年同期比2%増の11億5300万ユーロと増収だった。税引き・利払い前損益(EBIT)は,2億2000万ユーロの損失を計上し,前年同期の黒字から転落した。純損益は前年同期に引き続き赤字で,7億6300万ユーロの損失となった。EBITにはコスト削減プログラムの実施などに伴う費用が含まれているという。

 部門別に見ると,増収となったのはCommunication Solutions部門。対前年同期比22%増の3億8900万ユーロを売り上げた。この増収は予想を上回るもので,季節変動による好影響とHSDPA製品の需要が伸びたためという。無線事業の売上高は,HSDPA方式の携帯電話プラットフォームの増収により大きく伸びた。ブロードバンド事業の業績は市場環境の減速により,やや低下した。EBITは前年同期と同じく赤字で,300万ユーロの損失を計上した。ただし,前年同期と比べて赤字額は縮小している。同部門のEBITには,米Avago Technologies社へ売却したBAWフィルター事業による利益が含まれているという(Tech-On!の関連記事)。

 一方,Automotive, Industrial & Multimarket部門は減収となった。売上高は対前年同期比6%減の7億6700万ユーロ。EBITは同54%減の4700万ユーロの利益だった。自動車向け事業では,米国および欧州の低迷がアジア市場における堅調な伸びを相殺して,直前期から横ばいの業績になったという。産業およびマルチマーケット向け事業は,消費者関連製品やコンピュータ関連製品,通信関連製品において,低圧と高圧両方のMOSFETの需要が増加したことから,直前期比の業績が大きく伸びたという。セキュリティおよびASIC事業の売上高も,ASICの季節要因や,チップ・カードICの需要が安定したことなどによって,直前期から大幅に増加した。

 2008年会計年度通期(2007年10月~2008年9月)は,売上高が対前年比6%増の43億2100万ユーロだった。EBITは,前年の黒字から転落して4800万ユーロの赤字を計上した。純損失も前年の3億6800万ユーロから31億2200万ユーロへと大幅に赤字を拡大した。

 2009年会計年度第1四半期(2008年10~12月)の売上高は,直前期と比べて約30%減少する見通し。売上高の減少と生産施設の稼働率低下によって,各事業部を合計した損益は損失を計上する見込みという。すべての事業部を合計した利益率は,-15~-19%の間になるとみる。2009年会計年度通期の売上高は,前年比で少なくとも15%減少する見込み。すべての事業部を合計した損益は赤字になると予測する。